健康情報管理アプリ「ヘルスケア」

iOS 8の新顔といえば「ヘルスケア」、その名のとおり健康情報を管理するためのアプリだ。ダッシュボードと呼ばれる画面に歩数や走行距離などの情報を表示するほか、同アプリに対応する(HealthKitフレームワークをサポートした)外部デバイスから情報を取得したり、メディカルIDを設定したりできる。iPadには収録されていないことからしても、"スマートハブ"として常に持ち歩くiPhoneにターゲットしたアプリといえる。

「ヘルスケア」のデータ入力経路は、iPhone内蔵のモーション・コプロセッサ「M7」および「M8」、Nike FuelBandなどBluetooth Smart(Bluetooth Low Energy)に対応した外部装置、そして手入力の3種類。血液型や年齢、身長といった基礎データは手入力するが、それ以外の情報はコプロセッサや外部装置頼みだ。

一方、M7を搭載するiPhone 5s、またはM8を搭載するiPhone 6(Plus)では、歩数計として利用できる。M7/M8は常にモーションデータを捕捉しシステム領域に保存しており、「ヘルスケア」はそれを基礎データとして利用する。iPhone 5s/6(Plus)では、歩数計としての機能が標準装備されたわけだ。一方、コプロセッサもなければ外部装置もない"素のiPhone 5"では、後述するメディカルIDの登録に使うほか役に立たない。

メディカルIDは、いわば「iPhone内蔵の緊急医療情報カード」だ。体重や血液型、アレルギーの有無や特定薬物の禁忌といった情報を登録しておけば、ロック状態のiPhoneでも緊急電話画面から参照できるようになる。医療関係者が参照方法を知っていればの話だが、メディカルIDを参照すれば医療情報を参照できるので、iPhoneの持ち主が突然路上で倒れ意識不明のとき役立つはず。ドナーカードとしての役割(臓器提供者か否かの項目はあるが対象の臓器を記載する欄がない)など曖昧な部分はあるものの、登録しておくべき情報といえるのではないだろうか。

iPhone 5sで起動した「ヘルスケア」。内蔵のモーション・コプロセッサ「M7」が収集した情報をもとに、歩数などの情報を表示することができる

心拍数などバイタル情報のほか、栄養価や検査結果といった情報まで管理できる。このアプリが真価を発揮するのは、「Apple WATCH」が発売されてからになりそうだ

メディカルIDを登録しておくと、緊急電話画面の左下に「メディカルID」ボタンが表示されるようになる

iPhone 5で起動したところ。モーションコプロセッサ非搭載のため歩数情報は収集できず、サードパーティー製デバイスを用意しないかぎりメディカルID以外の使い途はなさそうだ