芸人のセレクトは"おもしろ荘"チーム

いち視聴者として最も気になったのが芸人のセレクト。ネタ番組の出来を左右する最大のポイントだけに、プロ中のプロである"ガースー"がどんな基準で採用しているのか気になる。劇場へ通ってスカウトしてくるのか? それとも独自のルートがあるのか?

しかし、"ガースー"は、「実は『ぐるナイ』のコーナーである『おもしろ荘(へいらっしゃい!)』のチームなんですよ。彼らは日本で一番芸人をリスペクトしていると思うし、日本で一番"ブレイクをしていないけど面白い芸人"を知っているチームなので」と内情を明かした。オーディション、セレクト、出番の順番などの全てを任せているという。

確かに、『おもしろ荘へいらっしゃい!』は、小島よしお、ジョイマン、オードリーらにブレイクがきっかけをつかんだ大人気企画。しかし、ほぼ全てを任せてしまうのは勇気がいることではないのか? 「僕は関根さんと麻里ちゃんと打ち合わせから参加しているだけで、この3人は本番までネタを一切知りません。僕は本気の一発勝負を楽しんでハシャぎたいので、リハーサルなんて見たくないんですよ」と"ガースー"は笑っている。器が大きいというべきか、視聴者目線に近いというべきか。

バッドナイス常田

流れ星

鬼ヶ島

オテンキ

今回紹介した両番組とも1回10分程度の番組だが、地上波番組以上に内容がギュッと詰まっているため、アッと言う間に終わってしまう。ここでふと疑問が湧き上がる。さんざん作って慣れている30分、60分番組にするつもりはなかったのだろうか? 「面白いものは面白いから『BeeTVだから演出を変える』ことはないけど、尺の長さだけは別。地上波のゴールデンや深夜だと30分や1時間平気で持っちゃうけど、ここだと長いのかなって思うし、これくらいがいいのかな」という。試行錯誤をしつつ、早くも手応えをつかんだ様子だった。"ガースー"が放つ次なる番組はどんなのものなのか? 人脈の広さに加え、長年温めておいた隠し玉企画も多いだけに、早くも第3弾が楽しみだ。

第3回のテーマは、"ガースー"が日本テレビを辞めた理由と、まだあるダウンタウンとのエピソード。さらにヤンキーたちとの爆笑感動秘話も……乞うご期待!

■菅賢治(すが けんじ)
1954年11月27日生まれ。長崎県佐世保市出身。日本大学藝術学部卒業後、日本テレビエンタープライズ(現・日テレアックスオン)のアシスタントディレクターとなる。1988年に日本テレビに入社。プロデューサー・ディレクターとして、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』『恋のから騒ぎ』『おしゃれカンケイ』『躍る! さんま御殿!!』『笑ってはいけない』シリーズなど数々の大ヒット番組を手がける。2007年以降は制作局次長、制作局総務兼バラエティーセンター長、制作局長代理兼チーフプロデューサーなどを歴任。2014年3月に日本テレビを退職。現在は「BRAIN BROTHERS GAASU ENTERTAINMENT」のプロデューサーとして活躍中。
聞き手・文=木村隆志
コラムニスト、テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。