NFCアンテナは、どうやら本体上部(天面)部分に搭載されているようだ。用途としては、いわゆるおサイフケータイと考えれば分かりやすいが、単純に「おサイフケータイ対応」というと語弊がある。基本的にはクレジットカード経由の支払いになるため、NTTドコモのiDなどのサービスと似たようなイメージと考えるといいだろう。
現時点で対応するのは米国発行のクレジットカードのみ。対応する店舗も米国内にとどまっており、米国内のマクドナルド、サブウェイ、デパートのMacy's、高級スーパーのWhole Foods Market、アップルストアなど22万カ所で利用可能だという。また、グルーポン、スターバックス、Uberなど、アプリ経由の支払いにもPayが利用可能とされている。
対応するクレジットカードはVisa、MasterCard、AmericanExpress。それぞれ米国内の銀行が発行したものに限られるようで、最終的に米国の主要な銀行はカバーするようだ。
仕組みとしては、クレジットカード情報を保存し、Touch ID(指紋認証)で本人確認を行った上で、PayPass/payWave対応のPOSレジで非接触の支払いを行う、というものと思われる。一時的なIDを発行して、それをPayPass/payWaveがそれぞれのクレジットカードと紐付けて支払いを行う、ようだ。小売り側、アップル側、ともにカード情報は提供されず、アップル側には購入情報も把握されない、という。
正直なところ、発表会だけではその仕組みはよく分からない。10月の開始以降、さらなる情報が明らかになるのだろう。
いずれにしても、「日本のおサイフケータイ利用者」にとっては、実現できることは目新しいものではない。その実現方法が特殊であっても、体験としてはおサイフケータイのレベルに「ようやく達した」という程度ではある。
ただ、現在非接触ICによる支払いに慣れていない海外ユーザーにとっては目新しいだろう。PayPass/payWaveともにNFC決済対応店舗を拡大しているが、一部の国を除くとほとんど普及しておらず、対応POSレジがあっても、店員が存在自体を知らないため使えない国も多い。