AppleらしくUIにはこだわりがある。側面にはホームボタンを兼ねた龍頭状のダイヤル「デジタルクラウン」を配置、回転させれば画面をズームやスクロールさせ、押し込むとホーム画面に戻るしくみだ。デジタルクラウンの下にあるボタンは、よく連絡を取る人物をサムネイル表示する「フレンド」機能用で、電話をかけたりメッセージを送信したりといった作業を迅速に行うことができる。音声アシスタント「Siri」をサポートすることもポイントだ。

龍頭状のダイヤル「デジタルクラウン」を回転させると、スクロールやズームイン/アウトの操作を行うことができる

ところで、筆者は大の腕時計嫌い。20年前に大枚叩いて購入したオメガはとうの昔に行方不明、以来腕時計は購入していないほど。手首に異物があるのがイヤなのだ。雑誌などで見て(デザインが)いいなと思うことはときどきあるが、正直Apple Watchの外観はその水準から遠い。腕時計嫌いを乗り越えて常に身につけたくなるほどカッコいいとは、どうしても思えないのだ。iPhoneを携帯電話というならApple Watchは腕時計、消費者がデザインで選ぶのは当然だろう。

気になるのは、やはりAppleのお家芸であるソフトウェアだ。Watch OSの詳細は明かされていないが、早速ソフトウェア開発キットの提供が約束されたことは興味深い。現時点でわかることは、開発フレームワークの名前が「WatchKit」であること、サードパーティーにも門戸が開かれること程度だが、Apple Watchならではの基本機能も当然サポートされることだろう。各種センサーやデジタルクラウン、軽いタップとプレスの違いを認識する「Force Touch」を利用すれば、これまでにないタイプのアプリが登場する可能性は高いはず。

というわけで、筆者としては正直"微妙"なApple Watch。価格も349ドル(約3万7千円)からと、決して安いとはいえない。しかし、Watch OSとその開発環境を実際に試さないことには、Apple Watchの本質を語れないことも事実。発売され次第入手し、数ヶ月ほど試用した後に自分なりの結論を出すつもりだ。