近年の液晶ディスプレイで1つの流行とも言える、疲れ目を軽減する機能も豊富だ。まずは画面のちらつき(いわゆるフリッカー)を減らす機能で、LEDバックライトの明滅間隔で輝度を調整するPWM調光と、電流の増減でLEDバックライトの明るさ自体を変えて輝度を調整するDC調光を併用している。低輝度時はPWM調光、高輝度時はDC調光を用いるのだが、PWM調光とDC調光が切り替わる輝度レベルは公開されていない。
純粋にちらつきを減らす(または無くす)なら、すべての輝度領域でDC調光を行うほうが有利だ。詳細は省くが、DC調光では原理的にちらつきが発生しない(全輝度がDC調光の液晶ディスプレイも多く存在する)。
EV2455/EV2450において、ちらつきの原因でもあるPWM調光を残しているのは、「画面を極力暗くできるようにする」という目的があるからとのことだ。DC調光の場合、画面の輝度は最低で20cd/平方メートル程度までしか下げられないそうだが、低輝度でPWM調光を用いるEV2455/EV2450は、0.9cd/平方メートルまで暗くなる(EIZO調べ)。
加えて、たくさんのLEDバックライトをグルーピングして別々に制御することで、明滅のタイミングをずらしている。一般的な液晶ディスプレイのPWM調光よりもかなり高い周波数で明滅をコントロールし、そして明滅タイミングを変えることによって、肉眼で感知できるちらつきは完全にカットしているという。
そのほか、従来モデルも備えていた画面モードの「Paper」モード、周囲の明るさに応じて画面の輝度を自動調整する「Auto EcoView」機能、ユーザーの離着席を検知して自動で電源オンオフする人感センサーの省電力機能「EcoView Sense」などを持つ。Paperモードはブルーライトをカットする機能で、通常の画面モードと比較したとき、PaperモードのEV2455では約73%、EV2450では約68%、ブルーライトをカットできる。Paperモードは画面の色温度を約5,000Kまで下げることでブルーライトをカットする仕組みだが(青成分を減らすので画面は赤っぽくなる)、5,000Kの色温度は一般的な「紙」と同じであり、紙の風合いに近づけて画面を見られるという利点もある。
EV2455とEV2450の発売日は9月19日で、価格はオープンだ。参考として、直販サイト「EIZOダイレクト」での価格は、FlexScan EV2455が62,640円、FlexScan EV2450が41,040円となっている。マルチモニタ用途や普段のメインディスプレイとして、EV2455/EV2450には注目しておいて損はないだろう。
最後に余談を。今回の発表会は、東京都・銀座にあるEIZOのショールーム「EIZOガレリア銀座」で行われた。EIZOガレリア銀座は照明にコンセプトがあり、すべての照明を5,000Kの色温度で統一し、蛍光灯には「Ra99」(Ra:平均演色評価数)の高演色タイプを用いている。ショールームには、正確な発色と色評価のための液晶ディスプレイ「ColorEdge」シリーズもずらりと並び、カラーマネジメントに関するセミナーを随時開催している。ColorEdgeシリーズは、ハイアマチュアのカメラマン、プロの写真家/デザイナー/業務用途で高い評価を得ており、愛用者が多い。
EIZOガレリア銀座の照明でありがたかったのは、デジタルカメラのオートホワイトバランスで色々な写真をとっても、写真の色がまず転ばないことだ。一般的な発表会や記者会見の会場照明は、異なる色温度の照明が混在するミックス光であることが多く、オートホワイトバランスだと写真の発色が狂いやすい。EIZOガレリア銀座の照明は、マクロで見ればニッチなこだわりかもしれないが、色を扱う人や取材する側にとって貴重な一室なのだ。
7月31日に発表された31.5型4K2K(3,840×2,160ドット)モデルFlexScan EV3237」が展示されていた。発売は9月19日で価格はオープン、EIZOダイレクトでの価格は199,800円だ |