Amazon.comがFire Phoneをリリースした際の分析レポートで、なぜ同社がFire Phoneで低価格路線を捨ててハイエンド路線を目指したのかの考察を紹介した。

現在スマートフォンやタブレットの世界で明らかになりつつあるのは、「コンテンツや周辺サービスで稼ぐ」といった狙いがあるとき、端末を安価にバラ撒いてもユーザーはそれほどコンテンツを消費せず、うまみが少ないということだ。

一方でiPhoneやiPadではコンテンツ消費額が大きく、さらに端末を持つユーザーが金銭的に比較的余裕のある「富裕層」である傾向が高い。広告プロモーションや最新技術/サービスを提供する場合でも、iPhoneやiPadユーザーをターゲットにしたほうが効果が高い可能性がある。

ユーザー滞留率でAndroidがiOSを上回ったという調査報告もあるが、依然として金額ベースではiOSのほうが高いという傾向が続いている。

以上を踏まえれば、iPhoneはシェアを減らしても今後もその重要性は当面失わず、新技術やサービスにおけるリーダー的存在であり続ける可能性が高い。ただし、それはAppleが今後もiPhoneでハイエンド寄り路線を堅持してポジションを維持した場合で、そのほうがデベロッパーらにとってもメリットが大きいだろう。

今後、サファイアガラス採用で本体価格が上昇する可能性があり、こうした動きにユーザーが追随するのかで意見がわかれている。ソフトバンク代表取締役社長兼CEOの孫正義氏は「0円でなければユーザーは(iPhoneを)買わない」と2年縛りの正当性を説明していたが、こうした意見を置いておいても、おそらく50~100ドル程度の値上げは多くのiPhone購入層にとってデメリットにはならないと筆者は考えている。むしろ、このブランドポジションを崩すことのデメリットのほうが大きいのではないだろうか。