Appleが目指すべき路線

難しいのは、小米が中国で開拓したポジションをSamsungやAppleが狙っても、なかなか実現が難しい点だ。Samsungには小米ほどの話題性はなく、基本的には幅広いラインナップで同国内のユーザーニーズをまんべんなくカバーするほうが得策だ。

またiPhoneを購入する層は「iPhoneというブランド」がほしいのであって、何もAppleに小米のような動きは期待していない。Appleは変わらず、今後も高級機路線をメインで中国市場で進んでいくのが一番メリットがあると筆者は考える。

相対的に市場シェアは減る可能性が高いが、台数ベースでは確実に積み上げていくことができるだろう。現在、次期iPhoneにおいて「iPhone 5c」に該当するモデルの話が聞こえてこないが、Apple自身がハイエンド路線に活路を見出している証左なのかもしれない。

シェアでは測れないiPhoneの実力

ハイエンドに注力して相対的にシェアを減らしていくというのは、必ずしも悪い話ではない。IDCの調査報告によれば、2014年第2四半期(4~6月期)のスマートフォンOSのシェアはAndroidが84.7%、iOSが11.7%となっている。新型iPhoneが登場するたびにシェアを若干回復させているものの、スマートフォン全体で1割程度のシェアというのが現状のiPhoneだ。おそらく、今後もAppleが現在の路線を維持する限り、シェアは減り続けていくだろう。ただしiPhoneの販売台数そのものは伸び続けており、Androidの台数の伸び率に追いついていないだけというのが正しい表現だ。

世界のスマートフォンOSシェア(出典: IDC)

ただ、台数こそAndroidが圧倒しているものの、その多くは新興国や低所得層の間での低価格端末に偏っており、ハイエンド端末の比率でいえばiPhoneのシェアはかなり高いと判断できる。

さらに重要なのは、「ハイエンド端末を持つユーザーほど周辺サービスに落とすお金の額が大きい」という点だ。