既報の通り、米AMDは19日(現地時間)に「Radeon」ブランドでSSD事業に参入することを発表した。SSD市場は年々急成長を遂げており、メーカー間での性能競争や価格競争が激しくなっている。SDメモリーカードやUSBメモリなどのフラッシュメモリ採用製品で有名なSanDiskも、4日にコンシューマー向けSSD市場に初参入し、ますますプレーヤーが増えてきた。
今回はAMDが発売する「Radeon R7」シリーズSSDを試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。
OCZの「Vertex 460」をベースに性能と耐久性を向上
AMDからRadeonブランドで発売されるSSDは、「Radeon R7 Series SSD」(以下、Radeon R7 SSD)という名称である。Radeon R7は、AMDが自社で製造開発したものではなく、有名SSDメーカーであるOCZのOEM製品となる。
ベースとなった製品は、2014年3月にOCZから登場したメインストリーム向けSSD「Vertex 460」シリーズであるが、コントローラやフラッシュメモリが変更されているほか、ファームウェアにもカスタマイズが施されており、性能と信頼性がより向上している。
Vertex 460のコントローラは、Indilinx製の「Barefoot 3 M10」だが、Radeon R7 SSDでは、同じくIndlilinx製の「Barefoot 3 M00」に変更されている。Barefoot 3 M00は、OCZのワークステーション向けSSD「Vertex 150」シリーズに採用されているコントローラであり、動作クロックがBarefoot 3 M10の352MHzに対して、397MHzと高くなっている。
また、フラッシュメモリは、東芝製のA19nm MLC NANDフラッシュを採用している。Vertex 460およびVertex 150は東芝製の19nm MLC NANDフラッシュを採用しており、Aが付いている分、より改善されたプロセスで製造されているものと思われる。
インタフェースは、SATA 3.0(6Gbps)であり、120GB/240GB/480GBの3モデルが用意されている。カタログスペックではシーケンシャルリードが、全モデルとも最大550MB/s、シーケンシャルライトが480GBモデルと240GBモデルで最大530MB/s、120GBモデルで最大480MB/sである。ランダムリード(4K QD32)が、480Gモデルで最大100K IOPS、240GBモデルで最大95K TOPS、120GBモデルで最大85K IOPS、ランダムライト(4K QD32)が、全モデルともに最大90K IOPSであり、性能は高い。ちなみに、Vertex 460は、シーケンシャルリードが最大545MB/s、シーケンシャルライトが最大525MB/sなので、わずかながらRadeon R7 SSDの方が上回っている。
耐久性についても、Vertex 460では、1日当たり20GBの書き込みが想定されているのに対し、Radeon R7 SSDでは1日当たり30GBの書き込みが想定されており、保証期間も、Vertex 460では3年なのに対し、4年に延長されている。なお、ワークステーション向けのVertex 150では、1日当たり50GBの書き込みが想定されており、保証期間も5年と長い。Radeon R7 SSDは、Vertex 460とVertex 150の間に収まる性能や耐久性を持っているといえる。
想定ユーザーは、Vertex 460が一般ユーザー、Vertex 150がプロフェッショナルユーザーとされているのに対し、Radeon R7 SSDは、快適な環境を実現したいゲーマーとなっている。
Radeon R7 SSDの厚さは、最近主流の7mmだが、3.5インチベイ用マウンタが付属しているので、デスクトップPCに組み込む場合はマウンタを利用すればよいだろう。