新商品の概要

続いて、同社プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 プリンティング事業統括本部 プリンティング販促支援部の追越隆則氏が新製品の概要を解説した。既発売の3モデルに、今回の新モデルを加えた計7モデルで「HPの新しいインクジェット複合機」の全ラインナップが出そろうことになる。

家庭向けの「HP ENVY4504」「HP ENVY5530」は、プリント・スキャン・コピーに対応したエントリーモデル。モノクロでは黒顔料を、カラーではカラー染料を使用することで鮮やかな発色を実現した。HP ENVY5530にはSDカードスロットを搭載。カラーの大型タッチスクリーン液晶を備えるなど、HP ENVY4504との差別化が図られている。

日本HPの追越氏(写真左)。既発売の3モデル+新製品4モデルの計7モデルで、HPの新しいインクジェット複合機の全ラインナップがそろう(写真右)

「HP ENVY5640」「HP Officejet5740」には、新型のプリントヘッド一体型インクを使用。従来品と比べてヘッドの大きさが約1.5倍になり、印刷速度が高速化。また、HP ENVY4504やHP ENVY5530に比べ、ランニングコストも低く抑えられる。4モデルの最上位となるHP Officejet5740には、25枚対応自動給紙フィーダー、FAX、有線LANポート、USBメモリポート、NFCインタフェースなどの機能を追加。HP ENVY5640との差別化を図っている。

HP ENVY4504とHP ENVY5530は、ピュアな家庭向けモデル(写真左)、HP ENVY5640とHP Officejet5740は家庭用途と仕事用の両方を見据えた対応したモデル(写真右)

機能の詳細をデモ

追越氏からは、機能の詳細についても解説があった。日本HPの現行プリンタ/複合機は、iOS端末であればデフォルトの状態でも「AirPrint」に対応している。しかしAndroid端末の場合、専用アプリを入れるなどの手間が必要だった。今回の新モデルでは、Android 4.4以降にプリインストールされる「HPプリントサービスプラグイン」を利用することで、デフォルトの状態でも印刷に対応。追越氏は「HP製のアプリを入れなくても、買ってすぐに印刷できる」と、その利便性をアピールした。なお、HPプリントサービスプラグインの対応モデルは、HP ENVY5640とHP Officejet 5740の2モデルとなる。

HP ENVY5640とHP Officejet 5740ではHP製のアプリを入れなくても、Android 4.4搭載デバイスから印刷できる(写真左)。全モデルがマルチプラットフォームに対応する(写真右)

プリントヘッド一体型インクは、交換のたびに新しいプリントヘッドになるため、常にフレッシュな状態で印刷できるのがメリット。ヘッドの目詰まりが起きてもインク交換で解決する。今回の新モデルは、黒かカラー、どちらかのカートリッジ装着で印刷が開始できる上、両方をセットした状態で片方のインクが残っていれば印刷を継続できる。そして修理頻度の低減も実現した。

追越氏は「4つの基準で、これからの新しい印刷方法を提案していく」と話した。ちなみに既発売の3モデルでは、旧来の独立型インクを使用している。同社では両方のインクシステムを使用したモデルを用意することで、印刷頻度や枚数に応じた、利用者に最適な製品を提案していきたいと説明している。

日本HPが提案する最適化インクシステム。2014年秋冬モデルには、プリントヘッド一体型インク・独立型インクの両方のインクシステムが共存する

新型(HP62)のプリントヘッド一体型インクカートリッジ。従来のHP61カートリッジと比べて、印刷ヘッドが約1.5倍に

壇上では、スマートフォンから印刷を行うデモンストレーションが行われた

今回の発表で、趣味も仕事もカバーする日本HPのインクジェット複合機が計7モデル、出そろった。直販サイト「HP Directplus」における販売価格は、HP ENVY4504が8,800円、HP ENVY5530が11,800円、HP ENVY5640が15,800円、HP Officejet5740が18,800円。発売時期は9月中旬以降を予定している。追越氏によれば、製品では価格が上がるにつれて「印刷速度が上がる」「ランニングコストが下がる」といったメリットが感じられるという。

ラインナップ(写真左)と、発売スケジュールおよび価格(写真右)

発表会の最後には質疑応答が設けられ、島田氏や追越氏が報道陣の質問に回答した。「モプリアアライアンスには対応しているのか」との問いに、追越氏は「対応している」と回答した。モプリアアライアンスの統一規格では、プリンタやスマートフォンの機種を問わず、同一のUIで直接印刷が可能になる。ただ、日本HPとしては特別なアプリをインストールしなくても印刷できる、今回の新商品の特長を訴求していきたい考えのようだ。(参考記事「【レポート】スマホの印刷、規格を統一する動き Mopria Alianceが取り組みを紹介」)