ごはんが出てきてからのお酒はNG
さていよいよ終盤。「留肴」は「海老とうもろこし揚げ」である。最近は揚げ物を天つゆではなく塩で食べさせることも多いが、その場合天つゆの場合と同じく、揚げ物を箸で持ち上げて塩につけて食べるのだろうか。「塩に直接付けると、塩が付きすぎてしまうことがあります。手で塩をつまんで、揚げ物にふりかけてください」。また、お酒を飲んでよいのは留肴まで。この後の「食事」の時まで飲み続けるのはマナー違反なので気をつけよう。
今回の「食事」は、「おくらとろろご飯」である。とろとろした食感なので茶碗に口をつけ、ずずずっとすすったらおいしそうなのだが……。「お茶漬け以外はいけません。ひと口ずつ箸で食べましょう」。最後の「甘味」の「わらび餅」は、黒蜜をかけて器を持ち、楊枝を刺して食べる。プルプルして取り落としそうになるが、くれぐれも「手皿」はしないように。
和食は和室でいただく機会も多い。そこで、和室でのマナーを最後に紹介しておこう。まず和室に上がる際には、和室の入り口を向いた状態で普通に靴を脱ぎ、和室に上がる。それからくるっと振り返って入り口方面に向きなおし、腰を落として靴の向きを反対側にし、整える。時々、和室に上がる前に体を反転させ、入り口にお尻を向けて上がる人がいるが、これはマナー違反。
その後は席に着くまで、敷居を踏まないように気をつけること。また正座に慣れていないと、長い時間座っているうちに足がしびれてくることもあるだろう。その場合は、片足をずらして足を休ませてもよいのだそう。上半身はなるべく動かさないようにしながら、さりげなく行いたい。浅井さんによると、正座をしたまま足を浮かせて爪先立ちにすると、しびれが取れやすいそうだ。
これだけマスターすれば、かしこまった席でも恥をかくこともないだろう。しかし、今回勉強したのは和食のひとつの要素に過ぎない。和食の歴史や名店の味、世界も驚く職人芸……そんな奥深い和食の世界を2時間でぐるっと丸ごと紹介するテレビ番組が8月9日20時から2時間の特番として放送される。番組名は「すばらしき和食の世界 ~箸から溢れる日本人の心~」(BS11)。俳優の石坂浩二さん、作家の荒俣宏さん、アナウンサーの渡辺真理さんが出演し、様々な切り口で和食を掘り下げ、和食の未来に関しても考察していく。
和食という食文化に流れる日本人の精神を再確認する機会になること間違いなしのこの番組、要チェックだ。