昨年12月、「和食」が世界無形文化遺産に登録され、注目される機会が増えた。今後は、東京での2020年夏季五輪開催に向け、その注目度は高まるばかりだろう。四季折々の食材を盛り込んだ美しい盛り付け、年中行事との密接なかかわりがある日本の食文化「和食」。私たち日本人にとって、もっとも身近な料理と言えるが、マナーに関しては意外と知らないということも多いだろう。お箸の持ち上げ方は…? 手皿はOK?? など、深く考えはじめるとキリがない。しかし基本のマナーさえ押さえれば、美しく食べることができる。ぜひここで和食のマナーを学んでいただきたい。
今回教えていただく方
ウェスティンホテル東京 日本料理「舞」
スーパーバイザー 浅井裕香さん
ホテルの専門学校で学び、2009年に同ホテル入社。
日本料理「舞」に配属され、以降接客を担当。
今年2月より現場担当の責任者「スーパーバイザー」に昇格。
現在和食検定にチャレンジ中。
今回、講師役を務めていただいたのは、東京都・恵比寿「ウェスティンホテル東京」の日本料理「舞」でホールサービスを担当するスーパーバイザーの浅井裕香さんだ。国内外のゲストが利用する一流ホテルの和食部門で、日々現場の最前線でサービスを仕切っている方である。 実際に「舞」で提供されているお昼のコースをいただきながら、気になる和食マナーのポイントを紹介していこう。
「昼の会席」10,700円。内容は月替わりで、旬の食材をふんだんに使用し、季節感を演出している。取材時は7月の内容となっている。
・前菜 「胡麻豆腐ずんだ餡かけ」
・吸物 「もずくしんじょう椀」
・造り 「鮪 鯛」
・焼物 「鮎 塩焼き」
・煮物 「野菜の炊き合わせ」
・留肴 「海老とうもろこし揚げ」
・食事 「おくらとろろご飯 香の物 留椀」
・甘味 「わらび餅」
ウェスティンホテル東京 日本料理「舞」
料理長が厳選した旬の素材や、季節の器を使用し、日本の四季を繊細に表現した会席料理、寿司、天ぷらを提供。枯山水の中庭に面した店舗の造りでも日本の美を感じさせる。
意外と知らない正しい箸の取り方とは?
まずは、食事に入る前の一般的なマナーから。席に着いておしぼりが運ばれてくるが、手をふいた後はどこに置いたらよいのか意外に迷う。「お客様の右側にサーブしますので、右手で取って手を拭き、右側のおしぼり置きに戻してください」と浅井さん。
次にお箸の取り方にも正しい方法がある。「右手で箸の右端を持ち上げ、左手で下から支えます。箸先は食べるところなので、出来るだけ触らないようにします。左手は箸の中央あたりを持つとよいでしょう。次に右手をすべらせて下を持ち、箸を持つ形に整えた後、左手を離します」。聞くと難しそうだが、理にかなっていて、美しく見える動作である。自然にできるようになるまで練習しておきたいものだ。
ちなみに食事中に箸を置く際には、箸を持つ際の逆回し状態になる(左手で真ん中部分を下から支え、右手をすべらせて右端を上から持ち、左手を離して箸置きの上に置く)。箸袋に入っていた場合、箸を抜いた後の箸袋は、口が上、袋部分が手前になるようにして、自分の左側に縦に置くとよい。