テクノロジーの進化は、労働人口問題を解決する

孫氏の言う「日本復活の方程式」で、もう一つの値になっているのが「労働人口」だ。日本の労働人口は減少しており、人件費は高い。孫氏は、これを解決するのはロボットであると主張した。

日本の製造業労働人口は1,000万人に満たない

孫氏が主張する解決策は「ロボット」

日本の産業用ロボットは世界でもトップクラス。しかし孫氏がここで指すのは、安く高性能であらゆる用途に使える汎用ロボットのこと。それも、全てが人工知能を搭載し、クラウド経由で学習して知恵と知識を備えるもの。これを一気に普及させることで、日本がもう一度世界最先端の製造技術を手にすることができるという。

クラウドAIで自ら学習する汎用ロボット

ステージにPepperが登場し、孫氏と会話を交わす。やり取りがやや噛み合ない部分も

"動物楽団"による「第九」を指揮する新たなロボアプリを披露。なお、9月にはロボアプリ開発のためのデベロッパー向けカンファレンスが開催される予定

Pepperのデータはリアルタイムで集められ、学習のフィードバックにより毎日進化していく。労働力としてもそれは可能なのかもしれない。

日本の製造業における労働人口は現在約1,000万人だが、もし3,000万台のロボットを導入することができたら、日本の労働人口は現在の1億人分に達すると孫氏は予測している。また、1台100万円、5年償却で想定すると、"人件費"も非常に安くなる。これにより、製造業における労働人口1億人構想を実現し、労働人口・賃金問題を解決できるというのが孫氏の論である。

ロボットが24時間稼働すれば、8時間労働の人間3人分

平均月額"賃金"はロボットが世界最安

孫氏はこの提言について「ウソのような大法螺を吹くので、笑って聞き逃していただきたい」、また「9割以上の人がそれを疑問に思うだろう」などと前置きして話し始めた。しかしそう言いながらも「でも僕は真剣にそう思っているんです」と言い、本人は冗談とも非現実的とも考えていない。

生まれながらにデジタル機器に触れて育ったデジタルネイティブ世代が大人になった時、モバイルテクノロジーとどう付き合っていくのかは、今の大人に想像できることではない。孫氏は、さらにその先には生まれながらにロボットと会話するのが当たり前という世代が出てくる、と言う。いわば「ロボットネイティブ世代」が生まれ、社会に出て来た時、彼らがロボットとどう付き合っていくのかもまた、今我々が想像できる領域ではないのだろう。