7月15日・16日、ソフトバンクグループの法人向けイベント『SoftBank World 2014』が都内で開催された。イベントは同グループ代表・孫正義氏の基調講演を始め、多数の出展社による特別講演やセッション、およびサービス・製品の展示が行われた。ここでは初日に行われたアリババグループ会長兼CEOのジャック・マー氏、そしてヤフー代表取締役社長 宮坂学氏による基調講演をレポートする。
生産性向上のカギは「情報武装」
基調講演最初のステージに登壇した孫氏は、いまだ低迷が続く日本について「ただ嘆き将来を憂うだけでなく、どのように復活させて行くのかということについて、私なりのなりの意見を述べたい」として、「生産性×労働人口=競争力」という図式を掲げた。
2018年にはCPUのトランジスタ数が人間の脳が持つニューロンの数(300億)を超えると言われている。孫氏は、2040年におけるCPU・メモリ容量・通信速度の成長予想を示し、現在と比較してほぼ無限大といえるそれらの能力を手にした時、「全てがクラウドに格納され、ワークスタイルが劇的に変化する」と将来のビジネス環境を展望した。
ソフトバンクでは、iPhoneやiPadが発売された時にAppleに先駆けて全社に導入し、全員がクラウドを利用している。これにより、同社では一人当たりの生産性が倍以上に向上したという。しかし、国内企業を見るといまだに導入されていない企業が7割程度を占めており、これについて孫氏は「日本がいかに競争力を失いつつあるか」と、現状に対する懸念を述べた。
孫氏 「何に使うのか、どう活用するのかは、会社によって違うが、まずは使うというところから始まるのではないかと思う。使い始めれば良さも分かってくるし、他の会社よりも先に行うことで競争力を獲得できる」
「情報武装」のさらなる未来
家電や自動車、靴や眼鏡といった身の回りのものまで、ライフログとして様々な情報がビッグデータが収束される時代。2020年には世界で約500億のモノがネット接続されるという。その時、「クラウドに溜まったデータこそが我々にとって最大の財産となる」と、孫氏はビッグデータの意義を説いた。
現在のソフトバンクが「つながりやすさナンバーワン」を掲げる背景には、500億回もの接続セッションを確認し、機種別・時間別・場所別に詳細に接続率を把握することで、単にお金をかけるだけでなく、データを活用したインテリジェントな問題解決を行ってきた背景がある。ビッグデータが具体的な行動に反映された成果といえる。
自分が発明しなくても、最先端の機器がいつでも使える状態にあることは誰もが知っているにも関わらず、それを実行している企業はまだまだ少ないのが現状だ。これらの技術を最大限に活用することで生産性が改善されるなら、今すぐ使わない理由はないと、孫氏は改めて強調した。