ただ、「端末の代金を支払い終えた端末を自由に使えない」という点で、SIMロック解除は最低限のスタンスだろう。2年間の契約期間を前提に端末価格を割り引き、その間はサポートし、2年契約のあとはSIMロック解除が可能になり、移行した場合は端末サポートも終了する、というやり方もある。移行に関しては、継続できないサービス、使えるとは限らないネットワーク、サポートもない、といった点をちゃんと説明でき、ユーザー側も、それを理解する必要がある。

正直なところ、理解できない利用者もいるだろうし、それをキャリアが(実際は矢面に立つショップが)突っぱねることができるかどうか、という課題もあるだろう。MNPを受け入れた側のキャリアが有償サポートを提供する、という考え方もあるが、すべてのキャリアで同じ端末を扱っているわけでもないので、難しい側面もある。

もともと、中間取りまとめ案では、消費者保護の観点でSIMロック解除、クーリングオフ、料金プランの多様化、キャッシュバックの問題、といった幅広い論点が提出されているが、「SIMロック解除すればすべて解決」というような論調では特にない。というより、SIMロックを解除したからといってバラ色の未来は訪れない。

海外でもSIMロック解除の方向性になっているが、あくまで論点は「消費者保護」で、しかもこれまでキャリアのビジネスが通信サービスに特化して、日本のように各種サービスを取り扱ってこなかったため、比較的問題が起こりにくかったという点もある。

日本では、そのキャリアでしか使えないサービスがあって移行できない、移行したくない、というユーザーもいるだろうし、それは自然な流れ。逆に言うと、SIMロック解除による影響は特にないはずだ。