さて、ここにきて総務省がさらにSIMロック解除に関して積極的になってきたのはなぜか。一つにはガイドラインが実質的に無視されてきていることに業を煮やした面もあるだろうが、そもそも取りまとめ案自体が「消費者保護」を前提としているからで、「購入した端末がそのキャリアでしか使えない」という課題に対しては、「SIMロックを解除する」というのは順当な結論だ。
各キャリアは、MNPを防止し、継続利用してもらうためにさまざまなサービスを提供しているが、最近はキャリアサービスもマルチキャリア化したものがあり、キャリアを移行してもサービスは利用できる。LINEなどのメッセージサービスやGmailなどを使えば、メールアドレス変更の問題も回避できる。レンタルしたわけでもないスマートフォンがキャリアを変えると使えなくなる、というのは自然ではないだろう。
もちろん、スマートフォンによっては各キャリアの周波数帯をすべてサポートしておらず、移行したキャリアの電波をきちんと受けられないという問題はあるかもしれない。KDDIのCDMA2000ネットワークをサポートしない端末だと音声通話もできない。最近の端末は複数の周波数帯をサポートしているが、それがどのキャリアの周波数もすべて使えるか、というのは別の問題だ。
また、SIMロックを解除してキャリアを移行した場合、端末のサポートを誰が行うのか、という問題もある。根本的にはメーカーが行うべきだが、もともとそうしたメーカーサポートを前提としない販売方法を行ってきたため、業界的にも混乱するだろう。