世界初のアンドロイド・アナウンサー「コドモロイド」

続いては、子供の姿をした遠隔操作型アンドロイドのコドモロイドに移ろう(画像28)。コドモロイドはまたちょっと変わった仕事に未来館で挑んでいる。実は世界初のアンドロイド・アナウンサーなのだ。24時間365日、世界中のニュースを複数の声色で発信し続けるメディアで、将来的には複数の言語を自在に操って、社会への問いを投げかけていくという、彼女自身はアンドロイドであるわけだが、そのアンドロイドがアナウンサーとしてニュースを配信するという、全体として見た時にはアート作品でもあるのだ。そのアナウンス番組は、未来館内の複数のモニターで見られるようになっている(画像29)。

画像28(左):コドモロイドとアナウンサーの師匠の中田有紀氏。画像29(右):館内のモニターでニュースを配信しているほか、TVCMにも登場の予定。画像は、まだ取材時は公開していない企画展「トイレ? 行っトイレ! ~ボクらのうんちと地球のみらい」に関するテスト的な映像

ちなみにコドモロイドには将来の夢があり、アナウンサーとして冠番組を持つことだという。冠番組だからニュース番組かと思ったら、「台風中継とかグルメレポートとか…」などという。これに対しては石黒氏が「外に行けないし、食事もできないでしょ」と生みの親としては実に厳しいツッコミを入れ、何にも返せないという、笑っていいんだか悪いんだかわからない微妙な間があった(笑)。ちなみに、台風レポートは思いっきり濡れそうなこともアンドロイドには向いていないと思うので、いっそのこと国際宇宙ステーションにまで出張して、船外活動でもしてもらって宇宙天気を扱う太陽嵐レポーターなどの方がいいのではという気がしないではない(人工筋肉に空気圧を使っているから、宇宙服を着せないとうまく動作しないかも知れないが…)。ともかく、アナウンサーとしてはすでに鍛えられて、デビュー決定なので、早口言葉で噛まない様子と、そのアナウンスぶりをご覧いただきたい(動画5・6)

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動画5。早口言葉を含めたアナウンスの練習の様子を披露するコドモロイド
動画6。コドモロイドニュースの様子

また、コドモロイドはいうことが難しいというか、子供とは思えないのだが、石黒氏に対して「どうして私を作ったのですか?」という質問もしていた。これには一瞬石黒氏が虚を突かれたのか慌てていたが、技術の進展によって、これまではオトナロイドのように成人女性ぐらいのサイズじゃないと作れなかったのが、小型化が可能になったことが1つとする。彼女たちの身体の中にはよりヒトに近い動作を実現するため、空気圧式の人工筋肉型のアクチュエータが利用されているが、そこら辺が小型化できたというわけだ。また、老若男女問わず、気軽にコミュニケーションしやすいのが子供だと思われることから、こうして子供の外見をしたロボットにしたという。