フリービットモバイルの強みとして石田社長が挙げるのは、従来のMVNOのようなプロバイダ型でなく、端末から回線、販売、サポートまでを垂直統合で行うキャリア型である点だ。
「MVNOは大半がプロバイダ型から脱しきっていない。スマートフォンもSIMカードも、どこかから調達したものを量販店で販売している。それでは何かあったとき、端末に原因があるのか、SIMに原因があるのかわからない」(石田社長)
これは、インターネット回線を自宅に導入する際、プロバイダとPCが別物であることで起きていたズレと同じ構造の問題なのだと石田社長は述べている。
そこで同社が開始したのが、すべてを垂直統合した「フリービットモバイル」だ。オリジナルのスマートフォン「PandA」を自社で開発し、2013年12月には福岡天神、2014年3月には小倉に販売店舗をオープンさせた。また、コールセンターでは担当者がユーザーの「PandA」を遠隔で操作し、トラブル対応にあたる。サポートコストが甚大になるのではという質問も飛び出したが、端末が1機種のみであることや、担当者が端末の内部まで把握していること、さらに週2回のペースで講習会を開催しユーザーに使い方を教えることで、サポートコストを極限まで下げることに成功したという。 「福岡ではすでに第4のスマホキャリアとして認知されている。今後は徹底したブランディングを行い、福岡、小倉の店舗が採算ラインに乗ったところで全国展開も考えている。パートナーシップも含め、3年で1%のシェアを取りに行きたい」(石田社長)
今後の経営方針としては、「SiLK VISION 2016」として売上高260億円、営業利益26億円達成に向け、サービス群の投入と販売をグループ一体となって行うという。特にモバイル事業には大規模投資を行う予定とのことだ。