ボトムが見えないPC、好調が続くタブレット、踊り場を迎えたスマートフォン
ボトムが見えないと先述したPCは、台数が前年割れ、金額はかろうじてプラスで推移している。5月の台数構成比が90.1%、金額構成比が102.5%。平均単価は7万600円だ。ノートPCとデスクトップPCで分けて見ると、ノートPCの平均単価が若干上がっている。PCはWindows XPの買い替え需要もあったのだが、この特需について森アナリストは「2月中旬から顕著になり、ゴールデンウィーク前で終了した。つまり15週間続いたと分析している」と述べる。メーカー別に見た場合、やはり、VAIO事業を売却したソニーの動きが厳しい。バッテリ問題などの影響もあり、ソニーの台数シェアと金額シェアは、ともに8位まで後退している。
タブレット端末は、前年のこの時期にiPadの価格改定があった関係で前年割れしているものの、長期的には成長路線が継続中だ。メーカーシェアとOS構成比に大きな変化は見られない。アップルとASUSが二強体制であり、OSは5月の構成比ではAndroidが46.4%、iOSが37.6%、Windows系が16.0%となる。ただし、OS構成比におけるWindowsの数値はマイクロソフトのSurfaceが含まれていない。これを含めると20%を超える見通しだ。重量別の販売台数構成比では、300~350gがもっとも多く、5月の構成比で40.5%となる。画面サイズ別の台数構成比では、7型台が過半を占めた。2013年11月に9型台が30%台まで伸長し、5月になっても18.9%を占めるようになっているが、それでも7型台の構成比は5月で54.1%だ。
スマートフォンはすっかり停滞してしまった印象だ。iPhoneが日本で初めて発売された月を「1」として販売台数と金額構成比を作ると、市場規模は8倍まで拡大している。しかし、2012年以降はずっと微増で推移しており、直近の増税前特需(2014年3月)の反動によって、4月と5月は2011年の水準まで落ち込んでしまった。販売台数の前年同月比を見ると、5月は59.0%まで減少し、過去最低を更新中という。
昨今はテレビにもネット経由でのコミュニケーションや情報収集ツールの機能が付加され、PC、タブレット、スマートフォンといった「個人の情報デバイス」を取り巻く環境が変化してきている。道越アナリストは「ユーザーがこれらの情報デバイスをどう使い分けるか、比重が変わってきている。夏のボーナス商戦の動向で、また少し具体的に見えてくるのではないか」と語った。