つまり、例えアプリそのものを起動しなくても、iPhoneにアプリが入っているだけで役割を果たしてくれる。例えば有料の日本語入力アプリや写真加工アプリも便利に利用することができるし、ウィジェット機能を有効化するために有料アドオンを購入してもらう、といったマネタイズのチャンスの拡大にもなるはずだ。
重要なことは、起動してもらう、あるいは機能単位で呼び出して使ってもらうにしても、ユーザーが理解しやすい「活用ストーリー」を、開発者が連携しながら提示してあげることではないだろうか。それこそ、アプリ連携のレシピのような考え方がわかりやすい。
例えばウェブサービスでは、IFTTT(イフト)というサービスが画期的だ。ウェブでAPIを公開している様々なサービスを連携させて、情報を投稿したり、アクションを設定したりすることができるが、ユーザーが作ったウェブサービス連携のレシピが大量に流通している。
これまでは、自分の好みの通りに動かすために、ウェブサーバを活用したプログラミングが必要だったが、IFTTTは利用する双方のウェブサービスにIFTTTからログインすれば、クリックで手順を選ぶだけで、2つのウェブサービスを連携させられるのだ。これによって、レシピが大量に流通し始めた。
iPhoneのアプリ同士も、単発での機能だけでなく、複数のアプリを組み合わせた活用方法という面白さが開けていく。開発者は、もちろん自分のアプリを使ってもらうことが主眼であることは変わらないが、特に有料アプリの場合、いかに数多くの他のアプリとの連携の「相手」になれるか、もポイントになってくるだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を追求している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura