メインは張れないが軽めの用途なら一通りこなせる実力者
ここまでAthlon 5350とAM1プラットフォームを見てきたところでまとめてみよう。Athlon 5350をモバイル向けプロセッサではなく、デスクトップ向けプロセッサとして考えるともう少し性能がほしいという部分は確かにある。しかし、APUとマザーボードの最上位モデルをセットで買っても15.000円程度という価格から考えるとコストパフォーマンスはまずまずだし、低消費電力という強みもある。
夏のボーナスに合わせてPCをアップグレード、あるいはリプレースした際に余ったパーツとAM1プラットフォームでサブマシンを組むのもいいだろう。Webブラウジングやストリーミングでの動画再生、負荷の軽いゲームであれば一通りこなせる性能を持っている。小型PCで遊んでみたいというユーザーにもおすすめしたい。
さて、ソケット版Kabini面白い製品だと思うのだが、気になるのはAM1プラットフォームの今後だ。AMDはBGAパッケージでは、スペックが固定されてしまうので、ソケット化によりアップグレードの道筋を付けたという説明をしている。
SempronからAthlonに換装するというケースが一番分かりやすいが、すでに最上位であるAthlon 5350から先のアップグレードはどうなるのか。KabiniをベースにCPUあるいはGPUのクロックを引き上げたモデルを出してくるのか、それともKabiniの後継であるBeema(開発コード名)でもソケット対応の製品が出てくるのか。せっかく立ち上がったプラットフォームなので、継続的な展開を期待したいところである。
個人的には、AMDのモバイルプロセッサというとワールドワイドではともかく、日本国内では搭載製品を見かけることはまれだったのが、ソケット化してデスクトップ向けとして供給される事例ができたのは、ユーザーにとって良かったのではないかと思う。