――「アシアトコンパス」はかなりポップな曲調ですが、こちらもLiSAさんの作詞ですね

LiSA「今回はたくさん書かせていただきました(笑)。この曲も武道館の後に書いたのですが、武道館のとき、二曲目、三曲目くらいまでは、本当にごめんなさいと思っていたんですよ。すごくガッカリさせちゃったかもしれないと思って。でも自分のできることをやろうと思って最後まで歌い切ったんですけど、終わった後、みんなに会うのがすごく怖かった。だけど、実際に会ってみたら、私が一番悔しいということをわかってくれているんだっていう言葉をいっぱい掛けてもらえた。それも、『大丈夫だよ』っていう言葉ではなく、『あなたが経験していることなんて、長い人生のほんの一部だよ』みたいな、そんなポップな言葉で返してくれたのがすごく助けになりました。なので、自分でもそういったポップな言葉で、明日からまた頑張ろうって思えるような曲を届けたいと思い、この曲の詞を書きました」

――その中でも特に言いたかったのはどのあたりでしょうか?

LiSA「サビのアタマ、『大失敗は明日の教科書かも? 台無しになった作戦は持ち越しで そうやって アシアトコンパス 幸せへと続け』のところです。タイトルが入っているところですね」

――「アシアトコンパス」というタイトルにはどういう意味が込められていますか?

LiSA「今まで歩いてきた道筋がちゃんとこれからの方向、幸せの方向を示してくれるからね、っていう意味合いを込めています」

――幸せの方向はどちらでしょう

LiSA「それは人それぞれですね(笑)。後から振り返ったとき、それが愛おしく思える……それが幸せの道だと思います」

――やはりポップな歌を歌うときのほうが、カッコつけない、自然な自分に近づく感じですか?

LiSA「そうですね。ただ、どちらも自然ではあるんですよ。『ポーカーフェイス』は感情的な意味ですごく自然ですし、『アシアトコンパス』は、楽しいー! って思いながら歌えるところが自然かなって。楽しい気持ちをいっぱい詰め込めるので、すごく素直に歌えていると思います」

――「雨上がりの空とキミ」は期間生産限定盤にのみ収録されている楽曲ですね

LiSA「期間生産限定盤は(『魔法科高校の劣等生』のヒロインの)深雪ちゃんがジャケットになっているということもあって、"優しさ"を入れたいと思いました。"あなたの幸せを願います"という気持ち、恋人を超えた関係、家族の持っているもっと深い愛情を書いてもらいたくて、温かい曲をお願いしました」

期間生産限定盤のジャケットイメージ

――しっとりと聴かせるバラードに仕上がっています

LiSA「これまでに歌ってきたバラードは、どちらかというと感情的な曲が多く、日曜日や寝る前にしっとりと聴ける曲があまりなくて(笑)。力強い曲が多かったので、少しゆったりと歌える曲がほしかった。今まで、LiSAという人は一生懸命で完璧で、120点を取ることが正解だと思ってずっと生きてきたんですよ。でも、自分の弱さを認めてくれた武道館を経て、もう少し自分の自然体を見せられたらいいなと思いました。もう少し力を抜いて、素直のまま、ありのままを届けられたらいいなと思ったとき、やっと音楽の力、曲の持っている力に預けてもいいのかなって思える曲が歌えるようになった気がします」

――聴いていてもすごくゆったりとした自然な感じがします

LiSA「実はこの曲のレコーディングでは、初めて座って歌ったんですよ。イスに座って、アコースティックくらいのイメージで歌ったんですけど、座って歌うと全然違いますね、やっぱり。すごくリラックスして歌えました」

――この曲は、ライブでもいいアクセントになるのではないでしょうか?

LiSA「ライブハウスというよりホールのような会場で、いろいろな演出のある中、歌えたらいいなと思います」

――今回のシングルは、ジャケットも明るい感じに仕上がっています

LiSA「今回は白と緑がイメージカラーになっているんですけど、そのおかげでホームページがすごく見やすいです(笑)」

――思わぬ副産物が(笑)。これまでのLiSAさんにはあまり白のイメージはなかったのですが、白いLiSAはいかがですか?

LiSA「心機一転ではないですけど、これもやっぱり武道館を経て、そこをひとつの区切りとして、新しい部分に踏み込んでいく感じですね。もちろん、遠くに離れていくわけではなく、これまでの延長線上として、LiSAらしさの残った白になっていると思います。ただやはり、白い衣装というのは着慣れないので、初めは正直、大丈夫かなっていうのはありました。でも、実際に着てみたら、『あ、こういうのもちゃんと着られる女性になったんだ』って(笑)。ちゃんと成長しているんだ、白を着てもいいところまで来たんだなって思いました。白は誰にでも当てはめられるからこそ、印象が薄くなりがちになるという怖さがあったんですよ。でも、白を着ても、LiSAをちゃんと出せる。そういった部分も成長できているのかなって」