――LiSAさん自身が気に入ってる歌詞はどのあたりですか?

LiSA「武道館が終わってから、かなり思いを込めて書いた詞なので、思い入れのある言葉がすごくたくさんあるんですけど、一番となると『キミが信じてる僕を裏切るわけにいかない』のところですね。センパイが書いてくれた言葉の中だと、『欲張りあそばせ』が一番好きです」

――「キミが信じてる僕を裏切るわけにいかない」という言葉にはどのような思いを込めていますか?

LiSA「まさに武道館で感じた一番の気持ちなんですよ。今回の武道館は、自分が思い描いていたステージにならず、実際にステージの上に立ったときは、正直逃げたいと思ったし、もう一度やり直せるならやり直したいと思いました。でも、ここに来るまで支えてくれた人がいて、みんなが一生懸命に応援してくれたから、LiSAならできると信じてくれたから、武道館のステージに立つことができたわけですよね。だから、それを台無しにしてはいけないし、みんなの気持ちを裏切ってはいけない。そんな気持ちを込めた歌詞になっています」

――「Rising Hope」はロックナンバーですが、ミュージックビデオはかなりポップに仕上がっています

LiSA「LiSAという人の中には、ポップな部分とシリアスな部分があると思っているのですが、『魔法科高校の劣等生』も、ポップな部分とシリアスな部分がマッチしたアニメだし、そこが作品と自分のマッチしている部分でもあると思います。私が書く詞はかなり真面目だったりするんですけど、センパイが書く詞は言葉遊びがあったりして、けっこうポップな感じになっているので、そのあたりのポップさを映像でも見せられたらいいなと思って、今回のミュージックビデオを作りました」

――鏡を使った演出などが印象的です

LISA「みんなの期待を裏切りたくない、裏切るわけにはいかないという気持ちの裏側には、やはり怖がっている気持ちもあったりする。そんな心の二面性が、鏡のところでは表現できているんじゃないかと思います」

――演奏シーンにもかなり力が入っていますよね

LiSA「いつものライブ以上に、メンバーみんなが動いています(笑)。もちろん本物のライブじゃないので、普段以上にカラダを動かす必要がある。手を動かしたり、足を動かしたり、とにかくオーバーに動かないと伝わらないわけですよ。今回、普通に撮影した後、オーバーに動いたバージョンを撮ったのですが、結果的にはそちらのほうが多く使われています。なので、みんなの動きが大きくて、すごくカッコよく見えると思います。実際のライブだと絶対にできない動きですけどね(笑)」

――すでにテレビ放送も始まってますが、実際にテレビで観たときの感想はいかがでしたか?

LiSA「第一話は、オープニングが最後に流れる構成だったので、いつ流れるのかがわからず、ずっとドキドキしながら観ていました。お話が先にあったうえでのオープニングって、やはり伝わり方が全然違いますね。初めてタイトル曲の作詞に関わらせていただいたのですが、自分の書いた言葉がちゃんとアニメの言葉として伝わってくる感覚が、不思議であり、すごくうれしかったです。もちろん『魔法科高校の劣等生』を意識して書いた詞ではありますが、自分の言葉として書いたところもあったので、実際にはどのように伝わるのかが、放送日までわからなかったんですよ。それがちゃんと作品の思いとしても人に伝えられたのは、すごく幸せなことだと思いました」

――続いてはカップリング曲についてお伺いします。まずは「ポーカーフェイス」

LiSA「『ポーカーフェイス』は、自分をカッコよく見せたいと思っていたがゆえに、本当の自分を見せられなくなっていたという気持ちを歌った曲です。これも武道館の話になってしまうのですが、武道館まで、自分はすごくカッコよくありたいと思っていたんですよ。それをいい方向に理解してもらっていたおかげで、武道館では、ファンのみんなも『じゃあ、自分たちが』という思いで、一緒に最後まで駆け抜けてくれたんだと思っています。逆にそれが、自分の弱さをちゃんと認められるようになるきっかけにもなりました」

――この歌を契機に、これからは本当の自分を出していくという感じでしょうか?

LiSA「もう少し自然になれたらいいなと思います。もちろん完璧を目指すのはやめないですけど、カッコよさだけではなく、もう少し自然な部分も出していきたいです。寂しいときに寂しいといえる人間でありたい。でもそれってすごく難しいことですよね(笑)」

――これまでもけっこう自然体だったような気もしますが……

LiSA「そういう意味では、武道館こそが本当に自然体の自分だったと思います。カッコよくあり続けなければいけないという気持ちはありましたが、それどころではなく、とにかく、自分が今できることを全力でやって、それをすべて伝えることしかできなかった」

――取り繕っている場合じゃない

LiSA「そうですね。もうカッコよさとかじゃない! そんな感じでした」

――こちらの曲もLiSAさんが作詞を担当なさっていますが、特に気に入っている部分はありますか?

LiSA「個人的にはBメロの『重ねすぎたフィクションに朦朧』が好きです。それに続く、『今更"ホントの僕"なんてもう見せられない』という一言を言いたいがためのフレーズなんですけど、特に『重ねすぎたフィクション』という言葉が好きです」