この数年、Windows OSの流れで着実に進んでいるものに64bit化がある。メーカー製のPCでも64bit OSを搭載するものが一般的になってきた。64bit化のメリットはなんといっても、メモリ量であろう。32bit OSでは、PCによっても異なるが、3.2GB程度までしか認識されないことが多い。4GBのメモリを搭載していても、1GB近くが認識されないのだ。
その一方で、アプリケーションなどのメモリ要求は高くなってきている。Firefoxでも、状況によっては、500MB前後のメモリを消費することもめずらしくない。この1年では、メモリ価格はやや上昇傾向にあるが、16GBのメモリを搭載することもごく普通となっている。そんな状況で、32bit OSのメモリの壁は大きいといわざろうえない。
OSが64bit化されれば、当然のことながらアプリケーションも64bitになった方が効率がよい。移行への対策として、32bitアプリケーションも動作するようWOW64(Windows 32bit emulation on Windows 64bit)という仕組みが実装されている。エミュレーションであるので、オーバーヘッドが伴うのは避けられない(これが、非効率の原因といえる)。ということで、アプリケーションの64bit化も着実に進んできている。
さて、本誌でもよく取り上げているFirefoxであるが、Nightlyなどの開発段階では、Windows用の64bit版が提供されている。
しかし、現時点において正式リリースでは提供されない。そこで、公開されたソースコードから、64bit化したFirefoxベースのWebブラウザを公開している有志らが存在する。本連載においても、以前に「Waterfox」を取り上げた。
しかし、このWaterfoxであるが、最近、Firefoxのアップデートから遅れるようになってきた。バージョン28では、2014年4月6日にリリースされた。Firefoxから約3週間遅れである。また、一部のバージョン(25、23、22など)はリリースされないこともあった。機能的には問題ないとしても、セキュリティアップデートが行われないのは、使用するうえで問題となる。そこで紹介したいのは、もう1つのFirefoxベースの64bit版ブラウザである「Cyberfox」だ。
■ 世界のブラウザから - バックナンバー
・セキュリティベンダー製のChrome互換ブラウザ「Comodo Dragon」
・テキストだけを表示するWebブラウザ「Lynx」
・64ビット版ブラウザ「Waterfox」を試す
・KDEデスクトップ環境で生まれた「Konqueror」
・Mozillaの血を引くインターネット統合アプリケーション「SeaMonkey」
・3ペインの多機能タブブラウザ「NilBrowser」、そして「SimpleBrowser」へ
・Firefoxを軽量化した64ビットブラウザ「Pale Moon」
・テキストベースのWebブラウザ「w3m」
・ページ管理が実にユニークな「KIKIブラウザ」
Cyberfoxのインストール
Waterfox同様、ソースコードはFirefoxが使われる。具体的な開発環境は、Microsoft Visual Studios 2012、Windows 8 SDKおよびIntel Composer XE 2013とのことである。まずは、バイナリが公開されているSourceForgeからダウンロードする。
ダウンロードしたファイルをダブルクリックで、セットアップウィザードが起動する(図4)。
本家Firefoxと同じような画面である。インストールは画面の指示に従っていくので問題ないだろう。本家Firefoxと異なるのは、追加タスクの設定である(図5)。
デスクトップアイコンやスタートメニューの登録は、わかりやすいであろう。独自なのは、[Light Color About Homepage]である。これは、インストール後にその違いを紹介しよう。あとはデフォルトブラウザの設定などである(図6)。
[Launch Cyberfox]にチェックを入れておくと、すぐさまCyberfoxが起動する(図7)。
Cyberfoxをリリースをしている8pecxstudiosのページが表示される。スタートページは、図8のようになる。
ダークメタリックなイメージで硬質感がある。図5の[Light Color About Homepage]を選ぶとどうなるか。実際にやってみたのが、図9である。
こちらは白を基調としたシックなデザインである。