伝統のAthlonブランドが復活
AMDの新プラットフォーム「AM1」がデビュー、対応するAPUとマザーボードがそれぞれ発売された。APUの「Athlon」「Sempron」は既発売の「Kabini」がベースだが、ソケットは新型のSocket FS1bを採用。AシリーズのSocket FM2+などとの互換性はなく、利用には、新製品のAPUとマザーボードをセットで用意する必要がある。
Athlon/Sempronは、長らくAMDのCPUで使われていたブランドであるが、新製品が出ておらず、店頭からは姿を消していた。今回、このAthlon/Sempronが、ローエンド向けAPUとして復活した形だ。発売されたのは以下の4モデル。Athlonは4コア、Sempronは4コア/2コア混在で、両ブランドにあまり明確な区別はないようだ。
■主な仕様と価格 | |||||
モデル | CPU | GPU | メモリ | TDP | 価格 |
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Athlon 5350 | 2.05GHz/4コア | 600MHz/128コア | DDR3-1600 | 25W | 6,500円前後 |
Athlon 5150 | 1.6GHz/4コア | 600MHz/128コア | DDR3-1600 | 25W | 5,500円前後 |
Sempron 3850 | 1.3GHz/4コア | 450MHz/128コア | DDR3-1600 | 25W | 4,000円前後 |
Sempron 2650 | 1.45GHz/2コア | 400MHz/128コア | DDR3-1333 | 25W | 3,500円前後 |
Kabiniは元々ノートPC向けということもあり、TDPが25Wという省電力性が特徴。対応マザーボードは5,000円前後が主流となっており、非常に安く省電力プラットフォームを構築できるのが魅力だ。価格的にはBay Trail-D搭載マザーボードが対抗となるだろうが、Radeon R3搭載によるグラフィックス性能の高さがウリになりそうだ。
ただし、大きな問題が1つ。AM1ではCPUクーラーの固定方法がプッシュピン方式に変更された。このプッシュピンをまず、ヒートシンクの角にあるリングに通す必要があるのだが、これが異常に硬いのだ。自作PCに関してはベテラン揃いの店員達が、口を揃えて「かなり難しい」「初心者には勧めない」と言うのだから相当深刻な模様。
プッシュピンがリング部分に入りさえすれば、あとの作業はそう難しくはない。最初からヒートシンクにプッシュピンを取り付けておいてくれれば何の問題もないので、今後改善される可能性もあるものの、購入に際しては十分注意して欲しい。自信がなければ、ショップブランドのBTOモデルを選択するという手もある。