――藤岡さんは2011年の映画『レッツゴー仮面ライダー』で1号ライダーの声を演じられたことがありましたが、速水さんや菅田さんは本当に久しぶりの『仮面ライダー』出演ですね。

『仮面ライダーX』って不遇というか、何かと取り上げられる機会の多い『仮面ライダー』『仮面ライダーV3』の次ということで、あまりファンの間でも語られないライダーという印象があるんです。次の『仮面ライダーアマゾン』が異色の野生ライダーとして目立つだけに……。なので、Xライダーにもスポットが当たるといいな、という思いは、若干ありますね。555の半田くんの場合、本放送以来久しぶりというのもありますが、今回の映画のテーマを『生と死』に定めたとき、乾巧というキャラクターがうまく機能するだろうと。まあ、直感のようなものが働いたんです。

――それぞれ設定や世界観の異なるヒーローが集結するのですから、それぞれのキャラクターの背景を活かしながらストーリーに組み込んでいくのは大変だったのではないですか。

自分が担当した『555』や『ディケイド』もそうですけれど、それぞれのライダーのことを突き詰めていくと、設定上これはこうではない、とか、いろいろな問題が出てきます。他の作品でも"本来はこういう設定なんだ"というものがあって、そこをまともに考えると、ヒーロー共演なんて絶対にできないんですよ。

また、こういう"共演もの"では、どのライダーとライダーが顔見知りなのか、とかも重要になってくるんです。例えば、今回の映画では"平成ライダーを一人一人集めていく"という、『七人の侍』的なシチュエーションがあるんです。このとき、このライダーとライダーは初対面なのか、旧知の仲なのかで、会話の内容が違ってくるんですね。過去に『MOVIE大戦』の中で、素顔同士で会っていれば明らかに知り合いだと描いてもいいのか、あるいは『オールライダー』のときに横一列に並んでいたから、変身後はお互い知ってるのかとか(笑)。細かいことを気にしだすと、延々と気になっていきますから、最終的にどこを落としどころにするのか、ある程度は決めなければいけないんです。

やはり生身の役者さんがかつてのヒーローを演じるわけですから、過去の作品での出来事を無視して通ることはできません。「あのライダーは戦いが終わった後、今までこうやって生きていた」とか、すべての事象について作り手……私なり監督なりは、説明できるようにしておかなければいけないんです。

――本作品は、ライダーへの強い愛情とこだわりなくしてできない映画なんですね。

今回の映画に出てくる本郷猛は、誕生以来40年以上も戦い続けている人物です。藤岡弘、さんが本郷を演じたのが38年ぶりということなんですけれど、じゃあ今現れた本郷が38年前と同じでは、困るわけですよ。38年という時の重みを経た、人間的に深みを持った本郷猛として出てこなければいけない。それはいったいどういうことなのか、考えていかないといけないんです。……といいながら、あまりリアルに考えすぎていると、何もできなくなってしまいますけれどね(笑)。