シャープは、これまで197機種の電卓を商品化してきたというが、そのなかにはユニークな電卓製品群がある。

数々のエポックメイキングな製品を投入してきた

【左】操作部1.6mmという世界一の薄さを実現した「EL-8152」 【中央】厚さ0.8mm、重さ11gの超薄型電卓「EL-900」。第1号機に比べて、厚さは313分の1、重量は2,273分の1となった 【右】シースルー電卓「EL-895」

なかでも、1978年に発売したそろばん付き電卓の「ソロカル EL-428」は、計算という用途が同じである「そろばん」と「電卓」をひとつにしたもの。電卓の計算結果を確認するために、そろばんを使ったのか、そろばんの計算結果を確かめるために電卓を使ったのかは使う人によって様々だったようだが、電池が切れてもそろばんで計算できるという点が受けたという。

【左】ボタンを押すとドレミ音階で音が鳴るドレミカル「EL-670」 【右】そろばん付き電卓のソロカル「EL-428」

また、筆箱付き電卓も発売されたが、見た目は「電卓付き筆箱」と表現した方がいい製品。だが、当時は電卓を持ち込むことが禁止されていた学校もあり、需要も限定的だったようだ。そのほか、小型軽量化を生かしたペンダント型電卓、女性が持ち運ぶことを想定したコンパクト型電卓、裏返すとラジオになるラジオ付き電卓、定規と一体化したルーラー電卓などを商品化している。

筆箱付き電卓「RV-430」

カネボウとの連携で開発したコンパクト型電卓「EL-857K」

テザイン性を追求したファッション電卓「WN-30」

1975年に発売したコンパクト型電卓「EL-8009」

キャビンのロゴを入れたキャビンフェース電卓「RV-811C」

ペンダント型電卓「EL-8061E」

ラジオ付き電卓「JR-10A」。片面が電卓、片面がラジオになっている

2005年には川島隆太教授の監修による「計算ドリル付き電卓」を発売した。これは、簡単な計算を一日100問解くことで脳を活性化させるといった機能を搭載したもの。2007年には、官公庁などの需要に対応した「グリーン購入法適合電卓」として、太陽電池を採用し、再生プラスチックを40%以上使用した電卓を発売している。また、2011年にはスタイリッシュなデザインを採り入れたデザイン関数電卓を、2012年には女性をターゲットに人気のスイーツをコンセプトとしたデザイン電卓をそれぞれ発売。従来は事務機器としての域を出なかった電卓のデザイン性でも大きな改善を加えている。

透明アクリル付き電卓「EL-431」

手帳サイズ液晶電卓の「EL-8010」

ペン型クリップ付き電卓「EL-8029」

ルーラーカル「EL-431」