1973年には、世界初の液晶表示機能を持った「EL-805」を発売。他社も小型化に取り組むなか、シャープは薄型化に先鞭をつけ、C-MOSの採用により低消費電力化を実現。単3形乾電池1本で100時間の利用を可能としたことで、他社との差を圧倒的に広げてみせた。EL-805は、2万6,800円と低価格であるとともに、重さが200g、薄さが20mmと軽量・薄型化を実現。電卓の世界を根底から覆す製品となった。
そして、この液晶技術については、その後も技術革新を進めることで、テレビやディスプレイ用途にまで利用を拡大。液晶事業はシャープの屋台骨へと育っていった。
電卓の開発がさまざまな事業に派生
また、1976年に発売した太陽電池付き電卓「EL-8026」は、やはり世界初となる製品であった。太陽電池の用途が、灯台や宇宙開発向けに限定されていた時代に電卓に初めて採用。この取り組みは、その後のシャープの太陽電池事業の拡大に大きく寄与している。
そして、2005年には、電気技術や電子技術およびその関連分野における歴史的偉業を称える「IEEEマイルストーン」に、シャープの電卓が認定された。小型化、低消費電力化への技術革新に取り組んだシャープの電卓事業が、電気・電気業界に大きく貢献したことが認められたというわけだ。