続いて、任意団体エンジェルズアイズ代表の遠藤美季氏が登壇。「スマホやネットの使い過ぎによる最近の相談内容及びその実態」と題する講演を行った。学生からの相談は、依頼全体の56%を占める。相談内容は様々で、本人からは「気分が落ち込む・自己嫌悪、成績の低下、止めたいけど止められない」といったもの、家族からの相談では「依存から抜けられなくなることへの不安、発達障害との関係」などが多い。

登壇するエンジェルズアイズの遠藤美季氏(写真左)。依頼全体の56%が学生からの相談(写真右)

学校や保護者への聞き取り調査からは「人とのつながりから抜けられない」ケースのほか、「ネット上で人から評価されることにはまる」「居場所として必要としている」といった実態も浮かび上がってくる。そこで人間関係とネットについて調査したところ、現実の世界で「心地よい・落ち着く」と感じるシーンが少ないことが明らかになった。遠藤氏は「ネットの存在が大きくなり、やがて依存に陥ってしまうのではないか」と分析する。

相談内容(写真左)。心地よい・落ち着くと感じられる場面が、日常生活の中で減少している(写真右)

また、子どものネット依存を助長している背景について、遠藤氏は「ネットの世界を通じて(バーチャルな形ではあるが)様々な体験が行えるようになったこと」「通信インフラや端末の普及」「家族割引などの料金プランの流行」「学校でもネット関連の話題が流行っている」「コミュニケーションの手段としてネットが必須になった」ことなどを挙げる。

ネット依存を引き起こす背景について

本人が依存に気付いていない、友達のためにも止められない、家族がスマホを利用しており影響を受けている、など「解決しづらい」問題が数多いという。