「枠」にこだわらない使い方

「何度も試行錯誤して、空気を一カ所に集めて排出するレイアウトを採用した」と語る中道担当部長

放熱の観点で、鍵となったのは内部のレイアウトだ。

「ある部分では、うまく熱を伝導させながら、熱い空気をなるべく一カ所に集めて吐き出すことができるレイアウトを採用。これを実現するには何度も試行錯誤を繰り返した」(富士通周辺機・中道担当部長)。実際、防水を実現するために、試作段階から、構造を3回も見直したという。まさに、開発陣の努力の成果によるものだ。

だが、スリムキーボードは防水仕様とはなっていない。そこには、スリムキーボードを防水仕様とすることで、重量や厚みが増してしまうという問題もあっただろう。

富士通では、「タブレットとしての利用シーンにおいては、完全な防水、防塵対応にすることにこだわった。デジタイザーペンについても、IPX2相当の防滴仕様としているのは、タブレット利用での環境を考えたものである。だが、このスリムキーボードは、新幹線での移動中など、落ち着いた場面での利用を想定している。雨の中でキーボードを使うシーンはあまりないと考えた。これに対して、タブレット利用では、より厳しい環境での利用が想定されることもある」というように、ノートPCスタイルと、タブレットスタイルそれぞれでの利用シーンに最適な環境を考えているのだ。

IPX2相当の防滴仕様となっているデジタイザーペン。タブレットの利用シーンを想定すると、ペンも防滴にする必要があったという

そして、防滴仕様とした、そのデジタイザーペンもARROWS Tab QH77/Mの特徴のひとつとなる。法人用途を想定して搭載したデジタイザーペンは、本体に収納できる構造としたほか、手軽にペンを使うための富士通独自の提案として、側面に搭載した「ショートカットボタン」を長押しすることで、表示している画面をキャプチャすることができ、すぐに手書きすることが可能になっている。

「ペンを使うには、アプリを立ち上げて、それから使用しなければならないというように、ハードルが高い部分がある。これを解決するための機能がショートカットボタンの長押し。ペンを利用するシーンを増やしたい」とする。これも、ARROWS Tab QH77/Mによる挑戦のひとつだ。

狩野マネージャーは、「タブレットという枠、PCという枠にこだわらない使い方ができるのが、ARROWS Tab QH77/M」とする。パフォーマンスが求められている領域や、タブレットとして手軽に使いたいという場合の、両方に適したデバイスであることを目指したのがARROWS Tab QH77/Mというわけだ。そして、個人ユーザーだけでなく、企業ユーザーも十分使える仕様としており、企業の一括商談に対応できる体制も整えている。

タブレットで長年のノウハウを持つ富士通が、オールラウンドで使えるタブレットPCという提案を実現した製品が、ARROWS Tab QH77/Mということになるだろう。