続いて2013年5月に発表した第二弾「スマートリレーションズ構想」では、「スマホを、使いこなす。リアルライフをもっと自由に」というキャッチコピーを掲げ、「auスマートパス」や「auスマートバリュー」のサービスを強化。「auスマートサポート」などの新たなサービスを打ち出してきた。

ここまで各サービスに機能追加を行ってきたKDDIだが、田中社長によると「一つ、やっていないことがある」という。それが、「スマートパスポート構想」で開始したコンテンツの認証・決済システム「au ID」を利用した取り組みだ。

「au WALLET構想」は、この「au ID」を利用して「ネットとリアルの融合を本格化」させる新たなO2O(オーツーオー)事業である。

新たなO2O事業として立ち上げるau WALLET

au WALLETは電子マネーカードでありながらポイントがたまり、スマホとも連携する

「au WALLET」は、簡単にいえば電子マネーとポイントサービスが一緒になった電子マネーカードのことだ。現在、au個人契約者は3400万人、うちauスマートパス契約者数は1000万人、au ID契約者は1700万人。この数字を顧客基盤としてサービスを浸透させ、2016年度には流通規模1兆円を目指すという。

田中社長は「リアル世界での認証と決済機能を追加し、リアル世界とひもづくau IDにしたい」と意気込みを語っている。

電子マネーとスマートフォンといえば、すでにおサイフケータイなどが存在するが、au WALLETではあくまで物理的なカードにこだわる。その理由について田中社長は、「ユーザーは『カードで物理的に支払いたい』『スマホとカードを分けたい』『スマホをお店の人に渡したくない』といった思いを持っている。また、カードを発行する方が、お店にとってもわかりやすい」と述べている。

こうした新たな電子マネーカードを普及させる上で課題となるのが、「使える店が増えるまで時間がかかる」ということだ。

そこでau WALLETでは、日本国内最大級のサーバ管理型電子マネーである「WebMoney」と、210以上の国と地域において約3600万の加盟店を持つ「MasterCard」の決済システムを利用することで、ネット・リアル共に利用可能店舗の早期確保を目指すという。

WebMoney、およびMasterCardの決済システムを利用する