オーロラの輝きと街の輝きの共演。雲が残っているのが残念……

ネオンとオーロラのコラボ

5番勝負の2日目もトロムソで行ったが、今度はスポットを変え、ケーブルカーに乗って街を一望できる高台から狙うことにした。 トロムソは11月下旬から1月下旬まで、太陽が昇らない「極夜(ポーラーナイト)」が続くため、街には一日中灯りがともっている。大小様々な島から構成されるトロムソの街は、高台からただ眺めているだけもうっとりさせられる。

高台には軽食やお酒を出すカフェ&バーや、暖炉のそばでゆったりくつろげるフリースペースもあるため、オーロラ待ちも苦にならない。ケーブルカーを管理されていた地元の方が、「昨夜22時のオーロラを見たか? 君はラッキーだったね。今日は20時くらいに出るよ」とアドバイスをしてくださったが、それよりちょっと早い19時30分頃からオーロラタイムが始まった。雲があったためくっきりとしたオーロラは捉えられなかったが、そのオーロラは30分ばかり、トロムソの空をグリーンに染めた。

ケーブルカー乗り場へは街の中心地から車で5分

街のそばにそびえ立つ丘の方から、オーロラが広がっていった

船とオーロラのコラボ

3日目と4日目はトロムソを離れ、ノルウェー南部のベルゲンからロシアとの国境に位置する北部のキルケネスまでを行き来する沿岸急行船「フッティルーテン」に乗り、キルケネスへ向かう船中で撮影を行った。ノルウェーサーモンやタラ、ヤギのチーズ「イエトオスト」など、ノルウェーならではの料理がそろうディナーを楽しんだ後は、デッキでオーロラを狙う。

沿岸急行船「フッティルーテン」の上空にうっすらと広がるオーロラ

時間帯によっては雲が空を覆っていたが、何度となく星が流れ、波打つ音をBGMとした天体観測にはもってこいの環境である。ただ、残念ながら両日ともオーロラは弱く、うっすらグリーンがかった空が広がる程度だった。

オーロラの光は肉眼では捉えにくい波長のため、初めは白い雲のようにしか見えない。しかし、観測を重ねていくと次第にオーロラと雲を見分けられるようになってくる。「あれはオーロラかな?」と思ったら、とりあえずシャッターを押してみるといい。

3日目のオーロラは始終こんな感じ

4日目。肉眼では雲にしか見えない

最終日の5日目はキルケネスにて……だったのだが、この日は雪が降っていたためオーロラに出合うことができなかった。結局、この5番勝負は○が2回、△が2回、×が1回という結果になった。

トロムソを例にすると、2012年~2013年の冬のオーロラ目視率は46%(約2日に1回)、出現率は67%(約3日に2回)。必ずオーロラに出合えるとは言い切れないが、だからこそ出合えた時の感動は大きい。「オーロラをその目でみたい!」という方は、万全な準備と運を味方にして挑んでいただきたい。

コックピットとオーロラのコラボ

なのだが、この挑戦は最後にもうひとつあった。それが、フィンエアーでヘルシンキから成田に帰る空の上である。

フィンエアーは北極圏側のオーロラ帯を通って、日本に到着する。今まではオーロラを見上げていたが、今度は雲の上に出て、オーロラを横から観測できる。フィンエアーは通常、ホームページから事前に席の予約ができるので、その時は左側の窓の席(A)を押さえていただきたい。

副操縦士の席側から機長を望むと、そこにはグリーンの光が走っていた

通常は立ち入りできないが、今回は取材ということで、安全面に関して最大限に配慮をいただきながら、コックピットへ入れてもらった。訪れたのは1月7日だったのだが、機長の言葉では「2014年になってからでは、今日が一番のオーロラではないだろうか」とのこと。副操縦士の席側から機長を望むと空はグリーンに輝いており、自分が追ってきたのはこんな美しい光だったんだなと、改めて実感させられた。

通常、コックピットには立ち入りできない

A330-300のコックピットの様子

コックピットから撮ったオーロラ

座席から撮ったオーロラ

明るい機内の席からも、ブランケットを被って光を遮れば、オーロラを見ることができる。帰路はぐっすり眠りたいだろうが、その前に最後のオーロラを見届けていただければと思う。

※取材協力:スカンジナビア政府観光局、フィンエアー