オーロラが観測可能なオーロラ帯は、北極と南極の周辺に広がっている。しかし、日本からのアクセスやコストを考えると、北極側のオーロラ帯(北欧の北端、アイスランド、グリーンランド南端、カナダハドソン湾北部、アラスカ北部)が対象と言える。
生活時間帯に現れ、比較的温かい環境
今回、ノルウェーを選んだ理由は2つある。まずひとつ、オーロラはエリアによって出現する時間帯が異なる。北欧では20時頃からオーロラが出現することもあるが、アラスカでは深夜3時などの遅い時間になる傾向がある。夜はオーロラ観測を、昼は観光を楽しみたいなら、北欧をチョイスするメリットは大きい。
そしてもうひとつ、ほかの北極圏に比べて寒さが厳しくない。ノルウェーのトロムソを例に挙げると、暖流であるメキシコ湾流の影響で1月のトロムソの平均気温はマイナス3.5度。札幌が同月マイナス3.6度であることを考えると、その温度感覚をイメージしやすいだろう。ちなみに、トロムソとほぼ同緯度に位置するアラスカは、同月マイナス20度である。
特殊な環境で特殊な撮影に必須なモノ
オーロラは突然現れ、そして待ってはくれない。その瞬間をシャッターに、そして目に焼き付けるためには、ある程度の備えは必須である。今回筆者が体験して、最低限必要だと思ったものは以下である。
・デジタル一眼レフカメラ
・三脚
・ワイヤレスレリーズ(リモコン)
・予備のバッテリー
・カイロ(貼るタイプ)
・保冷バッグ(若しくはジップロック)
・ペンライト
ISO感度(800以上)やシャッタースピード(10秒以上)などが変更できるなら、コンパクトカメラでもオーロラは撮影できる。しかし、筆者がメカに疎いということもあるのだが、暗いところで常に動く物体を撮影するという特殊な環境を考えると、機材に頼ることも必要だろう。また、ブレを最小限に抑えるための三脚は必須であり、レリーズがあれば心強い。
オーロラ待ちで注意したいのがバッテリーである。寒冷地ではバッテリーの消耗が早く、いきなりゼロになることもある。撮影の間、三脚にカメラをセットして待機するようになるのだが、バッテリーの周りにカイロを貼って防寒するのも手である。そして、寒暖差があるとカメラのレンズが結露してしまうこともあるので、撮影後はカメラをそのまま覆えるよう、100均などでも買える保冷バッグを用意しておきたい。
加えて、周りの人に迷惑をかけない備えとして、ペンライトをひとつ。光が手元だけになるので、周りの人の撮影を妨げずに済む。また、オーロラ観測は持久戦である。服を重ね着し、ニット帽や手袋、靴用のカイロなどで寒さ対策を。
これがあると心強いモノ
ついでであるが、ある程度待つことになるので、周りの人とコミュニケーションを図るためにもチョコレートなどを用意しておくと、「みんなでオーロラを見よう!」という一体感が生まれるかもしれない。更に連日の撮影に対する保険として、栄養ドリンクも忍ばせておくと安心なように思われる。
また、ノルウェーでオーロラ観測をするのであれば、オーロラの出現を予想してくれる無料アプリ「NorwayLights」を活用するのも手である。各エリア別に、3日先までの予測を時間帯も含めて教えてくれるので、「今日はこの時間を狙おう」という予定が立てやすい。iPhone版とAndroid版がある。