ユーザーのニーズがそこにあるか? ニーズを作り出せるか?

ディスプレイが曲がっていたり、ある程度自由に曲げることができるのは、単純に「スゴイ!」という感覚がある。しかし冷静に考えてみたとき、果たしてそこに必然性があるか?_という問題もある。つまり、ディスプレイが曲面になっているスマートフォンを、あなたは欲しいか? という話だ。

もちろん今後、非常にクールなデザインが施された曲面ディスプレイ搭載のスマートフォンやタブレットは登場するだろう。しかし、ブラウン管亡き今、我々はすべての映像をフラットな表面のディスプレイで見ており、フラットデザインが当たり前となって、ビシッとまっすぐ揃ったインターフェイスがクールな時代だ。まっすぐが美しい画面を、曲がったディスプレイで見る、というのはどうもちぐはぐに感じる。

また、ディスプレイを引き出して画面を拡げるというアイディアは、例えばスマートフォンで電子書籍や新聞を読みたいというニーズに対応しそうだが、こうした「紙」の感覚へのノスタルジーを喚起するには、少しタイミングが遅すぎるかもしれない。多くのサービスはニュースをスマートフォンの画面で読みやすいようデザインし直しているし、中途半端な大画面が得られるよりは、タブレットを選ぶだろう。

曲面ディスプレイやそれによってよりスマートフォンの画面が大型化することによって、ユーザーが何らかのメリットを得られるかどうかが、最も重要な点になる。そういう意味で、腕に付けるウェアラブルデバイスと曲面ディスプレイの相性は高そうに感じる。しかしここでも、腕にデバイスを付けて何が嬉しいか? という用途をまず考えなければならないだろう。