最近ではスーパーマーケットでも販売されている直管LED。蛍光ランプに比べて寿命が長く、消費電力も低いのが特徴だ。既存の器具にそのまま取り付けられる製品が人気となっている。しかし、直管LEDの価格は蛍光ランプよりも圧倒的に高く、果たして全体的にみてコスト面でのメリットはあるのかどうか、気になるところだ。

LED照明のコーナーでは「蛍光灯からLEDに変えるとこれだけ電気代がおトク」という表示が行われている場合がある。しかし、あまりにもLED側に有利な条件での表示が行われている場合が多いのが問題だ。

まずは、ここでもLEDに有利な条件での比較を行ってみよう。蛍光ランプは東芝ライテックの「メロウZ PRIDE」、直管LEDはグリーンハウスが「elchica(エルチカ)」ブランドで販売している「GH-LTD」で、いずれも20W形で比較している。なお、お断りしておくが、これは別にグリーンハウスがLED側に有利な条件で表示を行っているという意味ではない。あくまでも一般論だ。

グリーンハウスの直管LED「GH-LTD」

メロウZ PRIDE(直管20W形)の定格寿命は15,000時間で、消費電力は18W。900円前後で販売されていることが多いようだ。一方で20W形のGH-LTDの場合は、定格寿命が40,000時間で、消費電力が10W。7,000円前後で販売されていることが多いようだ。

GH-LTDが定格寿命40,000時間なので、それに合わせるとメロウZ PRIDEは3本必要になる。その間の消費電力はGH-LTDが400kWhで、メロウZ PRIDEは720kWhだ。

東京電力の1kWhあたりの従量電気料金を当てはめてみると、第1段階で18.89円、第2段階で25.19円、第3段階で29.1円なので、GH-LTDの電気代は、第1段階の場合が7,556円、第2段階の場合が10,076円、第3段階の場合が11,640円だ。一方メロウZ PRIDEは、第1段階の場合が13,600.8円、第2段階の場合が18,136.8円、第3段階の場合が20,952円になる。当然のことだが単価の上がる第3段階が一番大きな差となる。これにランプの価格をを加えた総コストは、第1段階では1,744.8円、第2段階では3,758.8円、第3段階では5,012円、直管LEDのほうが低いことになる。これがLEDに有利な計算だ。

どのあたりがLEDに有利なのかというと、それは直管LEDの定格寿命である40,000時間で計算している点だ。直管の蛍光灯はシーリングライトでも使用されるが、キッチンや洗面所などのあまり長時間点灯しない場所に使用されている場合も多い。そういった場所の蛍光灯では、蛍光ランプの交換をしたことがないという場合も珍しくない。

コストをメロウZ PRIDEの定格寿命である15,000時間で比較してみるとどうだろうか。使用時間が15,000時間でも、GH-LTDは1本必要だ。一方のメロウZ PRIDEは1本で済むため、40,000時間の場合の3分の1のコストになる。

消費電力はGH-LTDが150kWhで、メロウZ PRIDEが270kWhだ。GH-LTDの電気代は、第1段階の場合が2,833.5円、第2段階の場合が3,778.5円、第3段階の場合が4,365円だ。一方、メロウZ PRIDEは、第1段階の場合が5,100.3円、第2段階の場合が6,801.3円、第3段階の場合が7,857円になる。これにランプの価格をを加えた総コストは、第1段階では3833.2円、第2段階では3077.2円、第3段階では2,608円、メロウZ PRIDEのほうが低いことになる。

総コストは点灯時間によって変わってくる。あまり使用しないところまでLEDにする必要性は低そうだ。

さらに別な角度で蛍光ランプに有利になる条件の比較をしてみよう。40,000時間を少し越える45,000時間で比較すると、メロウZ PRIDEは定格寿命15,000時間なので40,000時間のときと必要なランプの数は変わらないが、GH-LTDの場合は2本必要になる。つまり、ランプのコストは倍の7,000円だ。この価格を加えた場合、第3段階の電気料金でも、蛍光ランプのメロウZ PRIDEのほうが低コストになる。これはちょっと極端な例で、さらに長期間で比較すするとGH-LTDのほうが抵コストになるのだが、蛍光ランプのほうが低コストになる期間もあるということは確かだ。