――通話の品質に関してはいかがでしょうか。
片桐:音楽と通話は異なる通信方式で行っています。最近は従来よりも広い周波数帯に対応した「HD Voice」という技術が普及してきていて、AMラジオとFMラジオくらいの音の差は出るようになっています。ボヤッとしていた音がよりクリアに聞こえると思います。
――Bluetoothだとどうしても音の途切れが気になります。ポケットに入れたりすると途切れたりしますよね。これはなぜなのでしょうか。
片桐:Bluetoothは通信領域が狭いので、電波干渉を受けやすいのです。人間の体は電波を通さないので、たとえばスマホを左後ろのポケットに入れて、右の耳にBluetoothヘッドセットをつけると、それだけで電波干渉が起きて音が途切れたりします。ユーザーから寄せられる不満の声でも、やはり音の途切れは多いですね。
――どちらのポケットに入れるかというような問題に関してはユーザーが知識をつけて対応するしかなさそうですね。技術的に解決できる部分はあるのでしょうか。
片桐:最近ですと、弊社からダイバーシティという技術を用いた製品を発売しております。Bluetoothヘッドセット内に入っている電波の受信アンテナには指向性があるので、一つのアンテナに得意な方向と苦手な方向があります。全方向からの電波を同等に受信できるわけではないので、どうしても音の途切れが発生してしまうのです。ダイバーシティでは2つのアンテナを入れて同時に電波を受信し、一番いい状態の電波を合わせることで、つねに電波状況を良く保とうという方式なのです。