実写では、遠景の細かい部分までをシャープに描写する解像感の高さを確認できた。風景撮影では道路上の小さなゴミまで、人物撮影では小じわや毛穴までがくっきりと再現され、撮影時のアラが見えて困るくらいだ。

この圧倒的な細部表現力は、光学ローパスフィルターレスとなる35mmフルサイズ相当の有効3,640万画素CMOSセンサーと、新設計の画像処理エンジン「BIONZ X」によってもたらされたもの。画素数は一般向けのデジカメでは最多を誇り、撮影画像のサイズは実に7,360×4,912ピクセルにもなる。

驚いたのは精細感だけではない。ISO1600を選んでもノイズがほとんど気にならない高感度画質や、暗部から明部までの滑らかな階調再現性、クリアで濁りのない発色性についても、十分に満足できる。従来のフルサイズ一眼に比べて半分以下のボディ重量にもかかわらず、これほどの描写力が得られるのは見事である。

気になったのは、撮る瞬間のシャッターボタンの操作フィーリングがあまりよくないこと。シャッターボタンを押し込むストロークが深い上に、レリーズタイムラグは結構長く、シャッター音は大きめ。しかも、シャッターを切った瞬間の音や動作のレスポンスはのんびりしている。ふだん私がスナップ用に使っている「NEX-5R」のシャッター感覚は「カシャ」という小気味よいレスポンスであるのに対して、α7Rでは「パッシャーン」という印象の、やや間延びした動作である。

ちなみに、α7Rにはない電子先幕シャッターを搭載した兄弟機α7のほうが、レリーズタイムラグは比較的短く、シャッター音はやや控えめだ。

α7Rは、画質に関して何ら不満はないカメラだ。レンズ交換ができるフルサイズ機といえば、これまでは機材一式の大きさと重さを覚悟しなければならなかったが、α7Rなら軽いフットワークでフルサイズ画質が楽しめる。画質を重視して、趣味や作品としての写真撮影を楽しみたい人には絶好である。高精細な表現力は、特に風景写真用に打って付けだ。

絞り優先AE(F5.6 1/125秒) 露出補正:-0.7 ISO100 ホワイトバランス:太陽光 レンズ:「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F5.6 1/640秒) 露出補正:±0 ISO100 ホワイトバランス:オート レンズ:「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F8 1/320秒) 露出補正:+0.3 ISO100 ホワイトバランス:太陽光 レンズ:「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F8 1/100秒) 露出補正:-0.7 ISO640 ホワイトバランス:オート レンズ:「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F5.6 1/800秒) 露出補正:-0.7 ISO100 ホワイトバランス:オート レンズ:「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F1.8 1/320秒) 露出補正:+2 ISO100 ホワイトバランス:太陽光 レンズ:「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」(原寸大画像を見る)

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