そして最大の特徴はこれら都市の鉄道やバス、タクシーといった公共交通機関だけでなく、ロッテグループのデパートやコンビニなど、多くの商店での支払いをT-money/Cashbeeで行える点にある。移動コースや使い方にもよるが、現地通貨であるウォンへの両替なしでクレジットカードと電子マネーのみで同国を旅行することも可能だろう。

もともとは日本の交通系カード同様に非接触通信に対応したスマートカード形式での提供だったが、NFC対応携帯とUSIM上のセキュアエレメントを合わせて「モバイルアプリ」形式でのサービス提供が始まっている。モバイルアプリのメリットはいくつかあるが、オンラインチャージが端末上から簡単に行えること、そして案内地図を参照できたり、クーポンの入手が可能など、単純に決済にとどまらない付加サービスが提供されることが大きい。

では、18日より提供が開始されたNTTドコモのモバイルCashbeeだが、実際の使い勝手はどうか。筆者が手持ちのNTTドコモ SO-04F (Xperia Z1)にインストールして使ってみた(正確にいうと韓国に行かない限りマネーサービス自体は試せないのだが……)。ぱっと見の印象は「観光ガイドアプリとしては使いやすく、画面やUIもシンプルでわかりやすい」というものだ。だがサービス面でいうとやや残念な部分がある。

  • 交通系サービスがまだ始まっていない(店舗決済とタクシー対応のみ)
  • チャージはクレジットカード経由のみで、金額は1万ウォン単位(日本円で約1057円)

アプリを起動して最初に「この機種では交通系サービスが使えない」との警告が出るのだが、よくよく調べるとサービス自体が始まっておらず、現時点ではモバイルCashbeeからは利用できない。コンビニ等での店舗決済と、一部タクシーでの取り扱いのみと非常に限定的だ。おそらくは交通カード系での検証が終わっておらず、セキュリティや安定性の部分でもう少しブラッシュアップが必要だと判断されたのかもしれない。そのため「モバイルCashbeeのみで韓国旅行」というのは現時点では難しいと思われる。

アプリを起動してしばらくすると、交通系サービスが使えないとの警告が。対応機種ではないとのことで一覧を調べると、実際にXperia Z1は見当たらない

警告メッセージでOKボタンを押すと初期化が始まる。このタイミングでSIM上にセキュアアプリが作成され、設定が行われている

利用可能なサービス一覧を開いたところ、なんと列車やバスの交通機関はまだモバイルCashbeeで利用できないという。おそらくは、先ほどのページの対応機種は単に情報が古くてXperia Z1が記載されていないだけで、サービスそのものが未対応だったという可能性がある

モバイルCashbeeアプリでは、このように路線図案内機能も用意されている。ちょっとした付加サービスではあるが、慣れていない旅行者にはありがたい

参照可能なメニュー一覧。クーポン機能も用意されており、店情報と合わせて街巡りガイドになる

チャージがクレジットカード経由のみというのもマイナスポイントだ。日本での決済やサポート対応はSBI Axesが行っているようだが、オンラインチャージのためにクレジットカード情報をサービス登録しなければいけない。