――JOYさんが演じた「イエヤス」は、普段テレビで目にするJOYさんにかなり近い印象を受けました。

イエヤスは、まさに僕がキャスティングされたという理由がわかるような役柄で、すごく普段の僕らしさが出ています。ちょっとゆるい感じの(笑)。でもその半面、「民を守りたい」というすごく真面目な男気あるキャラクターなので、普段の僕らしさと、僕にはない部分が同居しているような役ですね。

――となると演技も割とスムーズに進んだり? 逆に役者としての難しさを感じた部分はありましたか?

いえいえいえ、新米役者なわけですから、役作りひとつとってもわからないことだらけ。ただ、撮影に入る前に田崎監督とお話させていただいて「とにかくJOYさんらしく演じてくれればいいから」と言われ、ふっきれた部分はありました。考えすぎずに演じられたと思います。演技としてはリハの時点で、もし監督のイメージと違ったとしても、しっかりイメージを伝えてくれると方だと信頼していましたし、すぐに反応して、演じられればいいんだって。

相手の切りかかるような殺陣的シーンは、やはり難しいですよね。僕は、例えば刀の持ち方も知らないし、脚の運び方もわからない――もちろん同時に台詞もある。そういう動きひとつひとつを把握しながら、かつ瞬間的に演じていかなければならない怖さがあります。ただ台詞と表情で演じるのではなく、動きを意識しながら瞬間瞬間を作っていくようなイメージです。

――映画初出演で、初めての演技を終えた直後にまず感じたのは、安堵、手応え、後悔……どんな想いでしょう。

直後の後悔はなかったんですが、いくつかのシーンを撮り終えた後に最初のシーンの後悔がきました。おそらく演じるごとに自分の役を掴んでいった反動なんですが、うわあ……最初のシーンに戻りてえな……って。思い返すと納得できないシーンもあって、もう一度撮りたい思いもある。でもOKが出てしまっている。そのあたり、ちゃんと一発で"とびっきりのやつ"を出す、という課題も見つかりました。役者ってすごいよね! ほんと。

――先ほど和気藹々した現場とおっしゃっていましたが、「映画の現場は怖いイメージ」は払拭できましたか?

正直、役者には悪い言い方だけどスカしているイメージがありました。バラエティで一緒に出演しても、どこかお前らとは違う畑だよってオーラを感じたり、そういうイメージが先行していたわけですが、とにかく今回は演者の子たちにすごく恵まれていたと思う。僕よりも若いキャストが多いから、地元の後輩みたいな感覚で絡んでくれて「うわっ! 楽しい!」って。撮影初日の夜に何人かで飲みに行きましたし、役者としてはこれ以上ない現場でしたね。

――佐野岳さんとのエピソードをぜひお聞きしたいです。

お互いにサッカー経験者なので、サッカーの話も盛り上がりますし、今度フットサルやろうなって。スケジュールが合わなくてなかなかできないんですけど。本当にプライベートで男友達とするようなトークです。

そういう仲ではあるんですけど、ひとたび撮影に入ると岳はすごい。あるシーンで、岳(葛葉紘汰)が、僕が演じるイエヤスの言うことに納得できなくて、胸ぐらつかんで言い寄るシーンがあるんですけど、もう岳の目は思いっきり役に入ってる。マジでこえーな、マジですげえ! っていうくらいの迫力なんです。負けないように、岳に気負されずに、互いをぶつけ合うのが大変だった。その時、役者・佐野岳のオーラみたいなものを全身で感じちゃって。もう……ライダーの、仮面ライダー鎧武における岳の"鎧武感!"みたいなものをたたきつけられた感じ。

――他のキャストさんも年齡的には下の方が多いですよね。

そうそう。岳は7つ下で、小林(豊)(駆紋戒斗/仮面ライダーバロン役)は4つ下かな。ただ役者としては彼らが先輩で、控室や楽屋でわーわーやってる時はみんなかわいい後輩なんですが、撮影に入ると一気に目が変わる。先ほどの岳の話にも通じますが、役に入り込む瞬間を見ることができるので、本当に圧倒されますよ。

――田崎監督からのアドバイス、演技指導などはありましたか?

当然、シーンごとの要求というか、監督からのオーダーや指示はありましたが、監督からは「全体的にすごく吸収力があって、飲み込みが早い」「才能があるんじゃないか」ということ言ってもらえて、それはもうめちゃくちゃうれしかったです。

――完成した映像も期待できますね、これは!

ちょっとだけ見ました。いやあ……もうもうもうもう、ひどい。本当にひどい。自分ではまったくいいと思わなくて。監督には褒めてもらい、現場の人もすごくいいって言ってくれるんですけど……だからドッキリなんじゃないのか、って未だに思ってる。見たくないんですよ、自分のお芝居も、完成した映像も……。

――見ないんですか? 初出演の映画だからというわけではなく、普段からご出演されているテレビ番組も?

意識しては見ないです。なんとなく家でテレビをつけていたら「あ、出てる」というケースはあって、そういう時は少しだけ見ます。ただ、一度見てしまうと、「ああーもっとこういうこと言えた、こうすればよかった」という反省点しか出てこない。だから今回の映画にしても、あまり見たくないんですよ。反省点を見つけるのは、大切なことではあるんですが、だって変な汗かきたくないしなあ……。

(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映