実は薄型化の壁だったトラックポイント
さらに、ThinkPadのアイデンティティともいうべき「トラックポイント」も進化を遂げた。
実は、トラックポイントの存在は、ThinkPadの薄型化にとっては、大きな壁となっていた。
発想を大きく転換し、これまで一体化していたトラックポイントの制御基板とセンサー基板を分離するとともに、制御基板をスペーキーの下に配置。それぞれを小型化、薄型化することに成功した。スペースキーの場所に基板を配置するというのは驚くべき発想だともいえる。「日本語キーボードの場合には、[kana]キーや[変換]キーなどがあるため、[Space]キーが小さい。そのサイズにあわせて制御基板のサイズも決定した」という。
また、ラバーキャップもこれまでのフィーリングを維持する形で0.8mmの薄型化を実現。これは、ThinkPad Helixから採用しているものだ。
キーボードでは、「打ち疲れしないキーボード」を維持することを目標に開発。ThinkPad X1 Carbonで実現したキーボードの薄型技術を採用。キーボードを押した時の衝撃を緩和しながら、ダンパー構造によって長時間の入力にも耐えうる環境を実現したという。
「メインストリームの製品であることから、コストを抑えながら、剛性の高いキーボードを実現することが目標だった。キーボードスペーサーと呼ぶプラスチックパーツを数多くのネジを使ってしっかりとカバーに密着させるようにし、従来のThinkPadのキーフィールを達成した」(内野氏) という。
加えてトラックパッドについても、モジュールレベルで調整が可能なものを新たに採用。キーボードの技術を応用し、パンタグラフ、ラバードームスイッチを採用することで、均一で快適なクリック感を実現したという。「Windows 8での操作環境をテストしたところ、最適なサイズが今回の大きさがこの大きさだった。従来製品に比べて48%大型化している」(塚本氏) という。
一方で、インタフェースに関しては、1つのPowered USBを含むUSB 3.0を2つ搭載。イーサネットやMini Displayポート、D-Subポート、4in1型のメディアカードリーダーなども搭載し、ビジネスシーンでの利用をサポートする。
防滴性能についても向上させ、従来はキーボードに対して数10ccという水準だったが、タッチパッド部分までを含めて500ccの水がかかっても動作するという実験をクリアしているという。
「従来製品では、キー下から水が排出されるドレイン機構となっていたが、新たな方式では、水をキー上にオーバーフローさせるデザインとした。カバーとキーボードのあわせめの公差をコントロールして隙間を詰め、さらに、キーボードスペーサーで密着させることで内部への水の侵入を防いでいる。タッチパッド部ではバスタブ構造を用いて防滴対応を図っている」(内野氏) という。