実用化の段階に入ったパワードスーツ……個人開発の注目株も登場!
ヒューマノイドと並んで、強化服=パワードスーツもSF映画やアニメでは定番ネタ。今回のロボット展にも多数の出展があった。福祉用としてレンタル展開中のサイバーダイン「ロボットスーツHAL」をはじめ、クボタの「農業用アシストスーツ ARM-1」、ホンダの「歩行アシスト」など、一部装着型ではあるがいよいよ実用段階に入ったと言えそうだ。
そんな中で一番の注目株は、なんと個人開発! のパワードスーツラボ「POWDER」。「パワードスーツ本来のパワフルな力増幅器」を目指しているそうで、まだ右半身のみのプロトタイプだが、無骨なスタイルは1960年代に米GEが開発していた「ハーディマン」を思わせる。設計値では片腕で約60kgを持ち上げることが可能。会場では上半身、右腕のみを装着してのデモだったが、灯油タンクをブンブン振り回す様はインパクト絶大であった。
サイバーダインの「ロボットスーツHAL」。動こうとする意志を生体電位信号から認識し、動作をアシスト |
災害対策用HAL。福島原発での作業を想定し、装着者の体幹部の被曝量を低減させる放射線防護装備を搭載 |
なんと個人開発! パワードスーツラボの「POWDER」。右半身のみのプロトタイプだが、重作業を意識した設計で片腕約60kgの可搬性能 |
サイバーダイン「ロボットスーツHAL 福祉用」のデモ |
パワードスーツラボ「POWDER」のデモ |
陸を、海を、空を行くロボット技術……パーソナル・モビリティや飛行ロボも
ロボット技術を応用したパーソナル・モビリティも今後、実用化が加速しそうな分野だ。トヨタの『Winglet』は、立ったまま乗るセグウェイ型の2輪車だが、日本のプロダクトらしく、よりコンパクト。デモ担当のお姉さんがハンドルの短いショートタイプをスイスイ乗り回していたのが印象的だ。
最近、レクサスの新CMでCGのようになめらかな連携動作を見せる小型クアッドコプターが話題になったが、今回のロボット展にも様々な飛行ロボットが出展されていた。中でも、ガシガシぶつかっても平気で飛び続けられる球状の「GimBall」はやはりインパクト大。また、都立産業技術研究センターのバルーンロボットも、ハムスターの回し車のような円形の姿勢制御装置を搭載し、通常の気球にはできない宙返りを実現。屋内での案内や見守り用途で使えれば、ということだが、まずはオモチャとして発売して欲しい!
トヨタ「Winglet」。リチウムイオン電池で動作するコンパクトなパーソナル・モビリティ。長いハンドルを装備したタイプもある |
SwissROBOTICS「GimBall」。カーボンファイバー製の球状シールドを備えた飛行ドローンで、障害物にぶつかっても安定した飛行が可能 |
都立産業技術研究センターのバルーンロボット。重心移動型アクチュエータで姿勢を制御することで宙返りも可能。マンボウみたいで和む~ |
トヨタのパーソナルモビリティ「Winglet」の走行デモ |
SwissROBOTICS「GimBall」の飛行デモ |
まだまだ紹介したいロボットだらけ……また2年後に乞うご期待!?
さて、夢の可変飛行ロボにはじまり、ヒューマノイドやパワードスーツなどのジャンルごとに、少々ミーハーなロボットファン目線で今年の国際ロボット展をご紹介してきたが、いかがだっただろうか? まだまだご紹介したいロボットはいくらでもあるのだが、さすがにスペースと時間の都合もあるので、もう少しだけノンジャンルで紹介して締めることにしよう。
エレキバンのピップが販売する「うなずきかぼちゃん」。頭や手足に内蔵した各種センサーにより、お年寄りのよい話し相手になってくれる |
「ルンバ」でお馴染みのアイロボットは、日本未発売の水拭き掃除ロボット「Scuba」シリーズや、雨どい掃除ロボット「Looji」を展示 |
双腕作業支援ロボット「NEXTAGE」。ロボット学会誌のイラストも担当するデザイナー・園山隆輔氏による洗練されたスタイルが特徴 |
千葉工業大学fuROの「櫻弐號」。原発での作業も想定した高機動ロボット |
KUKAブースでの自走アームロボットのデモ。観客にキャンディを差し出す |
マッスル「夢ROBO」。2010年の上海万博で注目されたハシゴ昇降ロボット |
20世紀に夢見られていた「一家に1台のロボット」というような未来の光景は、21世紀、2013年の現在も、残念ながら未だ実現していない。しかし、2年ごとに開催の国際ロボット展を観ていれば、劇的ではないにせよ毎回着実にロボットが進化していると感じられる。特に今回は、発展途上のサービスロボットの分野でも、ユーザーテストのフィードバックが取り入れられ、リアリティある提案が増えたように感じた。
もちろん、空想好きのロボットファンとしては、ぶっ飛んだセンス・オブ・ワンダーも感じたいところだが、そこは最新の技術動向がマンガやアニメのロボットにも影響を与え、きっとまた新たなビジョンが生まれてくることだろう。果たして次回はどんなロボットが勢ぞろいするのか? 今から楽しみだ。