――アフレコから2年経ち、実際に完成した映像を観たときはいかがでしたか?
岡本「やったぜ! って思いました。実は心配していたんですよ。こんなことを言うと失礼なんですけど、もしかしたら無くなってしまったかなって(笑)。絵とかも全然出来てないんだろうかとか、周りもネガティブな意見ばかりで……。それが出来上がったということで、映像を見せていただいたら、まずはその映像美にビックリ。出演できて光栄だと思っていた作品がちゃんと形になって、それがすごくすばらしいものだったので、本当にやったぜ! って思いました」
藤井「私も本当に良かったなって思いました。アフレコから時間が経っていたので、客観的に、お客さんの目線で観られるかなって思っていたんですけど、結局、自分の声やお芝居にドキドキしてしまって、最初に観たときは、全然お客さんとしての感想が持てなかったです。『どうだった?』って聞かれても、『え、よくわからなかったです』って(笑)。何度も繰り返し観て、やっとお客さんとしての感想が持てるようになって、あらためて良い作品だなって思ったんですけど、時間が掛かりましたね。最初に観たのは今年の1月ごろだったんですけど、そういう感想を持てるようになったのは、本当に最近のことです」
岡本「僕は、とにかく声や音が気になるので、映像だけに集中するようにしてます。音を聴くと、いろいろなことが気になって、客観的には絶対に観られないし、驚きとかも薄くなっちゃうんですよ。実際、ストーリー自体も知ってますしね(笑)。これは藤井さんとも話したんですけど、記憶を失くして観たかったです。結局、再確認みたいな作業になってしまうので。僕の場合、いろいろな方からお手紙で感想をいただいて、それを読んだ上であらためて映画を観て、それでようやくお客さんの目線で観られるようになるんじゃないかなって思います」
藤井「実際、私自身もまだ感想の落ち着きどころがないんですよ。自分は面白いと思って、初めて観る人はどうなんだろうって」
岡本「そこが心配になっちゃいますね。今回は特に言葉の内容を無理に伝えようとしていなくて、とにかく作品の雰囲気が伝わればいいと思って演技をしていたところもあるので、余計に作品の面白さがちゃんと伝わるのかどうか、作品の雰囲気をどのように受け取ってもらえるのか、それがすごく不安になります」
――作品の雰囲気は、どのように作り上げていくのですか?
岡本「作品の雰囲気は、特に主人公の方に左右されるのではないかと思っています。だからこそ自分が主役のときは大変だなって(笑)。今回は藤井さんが座長なので、藤井さんが作り上げたナチュラルな空間に自分もあわせていくことで、自然とナチュラルな雰囲気が出来上がっているのではないかと思います」
藤井「そんなことを背負って演技はしていなかったです……」
岡本「いやいや。主役の方は突っ走っていけばいいんですよ。ただ僕の場合は突っ走れないので、ちょっと大変なんですけど(笑)」
――まもなく映画も公開になりますが、これから観る方に注目してほしいポイントはありますか?
岡本「境界線がない物語というのがとてもきれいだと思うので、そこをぜひ皆さんに楽しんでもらいつつ、まずは映画全体の雰囲気を感じてもらえたらうれしいです」
藤井「180度サカサマの2人が出会うお話なんですけど、最初は見えているものも感じているものも、本当に180度違うんですよ。でも、だんだんと心が寄り添っていって、心が成長していくに連れて、同じものが見えてくる……とってもハートフルでありながら、SF的な要素もあるので、いろいろな視点で楽しめる作品だと思います。伏線もたくさん散りばめられていて、観るたびに印象も変わってくると思いますので、本当に何回も観ていただきたい作品になっていると思います」
岡本「あと、心に突き刺さる音楽が多いです」
藤井「大島ミチルさんが、サカサマということで、とてもアソビ心のある音楽を作ってくださっているんですよ。聞いた話では、パテマのテーマとエイジのテーマでは、楽譜がサカサマになっているらしいです」
――楽譜がサカサマ?
藤井「五線譜の上下がサカサマになっているらしいんですよ。たぶん聴いてもわからないと思うんですけど(笑)、そういうアソビ心が盛りだくさんになっているのもすごく面白いと思います」
――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします
岡本「本当に一番観てほしいところは、僕自身が一番ビックリしたところなんですけど、それはネタバレになってしまうので(笑)。とにかく、2人が抱き合って、さらに落ちていきます。そこが一番ビックリします。そこを楽しみにして、ぜひ映画館に足をお運びください。よろしくお願いします」
藤井「エンディングでとてもすがすがしい気持ちになれる作品で、最後まで観ていただくととてもいい気持ちになれる映画だと思います。観ていただいた後は、きっと誰かに話したくなると思いますので、ぜひお友だちや大切な人と観て、映画が終わった後も楽しんでいただけたらいいなと思います。よろしくお願いします」
――ありがとうございました
劇場アニメ『サカサマのパテマ』は2013年11月9日(土)より全国公開開始(配給:アスミック・エース)。公開館などの詳細は公式サイトをチェックしてほしい。
(C)Yasuhiro YOSHIURA/Sakasama Film Committee 2013