『イヴの時間』などでおなじみの吉浦康裕監督が放つ待望の新作『サカサマのパテマ』。『イヴの時間 劇場版』より3年の月日を経て、2013年11月9日、ついに劇場公開を迎える。
吉浦監督が、原作・脚本・監督を務める本作は、"サカサマ・トリップ・スペクタクル"と銘打たれているとおり、"サカサマ"をテーマにした冒険活劇。ボーイ・ミーツ・ガールの王道的な要素を踏まえつつ、吉浦監督ならではの奇想天外な展開が、これまでに体験したことのないようなドキドキ感を演出する。
そこで今回は、本作のキャスト陣よりヒロイン・パテマ役の藤井ゆきよ、エイジ役の岡本信彦の2人に作品の魅力について語ってもらった。
藤井ゆきよと岡本信彦が語る『サカサマのパテマ』
――まずはご自身の演じる役について教えてください
岡本信彦「エイジは男の子なんですけど……当たり前ですね(笑)、すごく男気あふれる男の子で、器もでかく、昨今見ないような男らしさがあります。草食系男子が流行っている中、肉食系というわけではないですけど、パテマを守るナイトの役割を果たしているのは、見ていてとてもカッコいいなと思いました」
――パテマはいかがですか?
藤井ゆきよ「パテマは女の子なんですけど(笑)」
岡本「実は男の子!? そこまでサカサマじゃない(笑)」
藤井「地下集落のお姫様という設定なんですけど、そういう立場とは関係なく、本当に周りのみんなから愛されながらスクスクと育った女の子なので、とても天真爛漫で、いろいろな表情がストレートに出てくる素直な子だと思います」
――あまりお姫様っぽい印象ではないですよね
藤井「そうですね。私自身も、お姫様というより、あくまでも14歳の等身大の女の子として演じました。時折、可愛いわがままみたいなセリフもあるんですけど、それをまったく悪気なく言っているあたりは、ちょっとお姫様っぽい感じですね。ただ、演技の上では特に意識はしていません」
――今回の役はオーディションですよね
岡本「そうです」
――それではオーディションのときの様子などを教えていただけますか?
岡本「オーディションを受けるときは、あらかじめ資料をいただくんですけど、その情報量がとても多くてビックリしました」
――普通よりも多かったのですか?
岡本「普通はキャラクターの絵があったりして多くなる場合もあるのですが、吉浦監督の場合は、世界観の説明がたくさんありました。それがすごい量で(笑)。でも、それにすごく助かりましたし、読んでいるだけでも面白かったです」
藤井「岡本さんはテープオーディションとスタジオオーディションだけだったと思うんですけど、私はさらに最終オーディションがあったんですよ。その最終オーディションでは、会議室みたいなところで、吉浦監督に絵コンテと台本を使って直接説明していただきながら演技をしました。文章だけだとちょっと難しい世界観だったのですが、そこに絵コンテと監督の説明があったので、とてもわかりやすく、感情移入しやすかったです」
岡本「監督と2人きりって、相当緊張しません? 僕だったら、舞台挨拶に立つのよりも緊張しますね」
藤井「私は人前で話すほうが緊張します。お芝居だったら大丈夫なんですけど……。最終オーディションは監督に説明していただきながらだったので、作品の秘密みたいなところまで知れて、何か最初のお客さんみたいな気持ちで楽しめました(笑)」