一方で、買収した米スプリントの業績も反転傾向にあるという。ユーザー数は減っているものの、ARPUは着実に増えており、売上や営業利益も伸びている。ソフトバンク流の営業ノウハウを1年かけて浸透させ、ネットワークの改善や営業費用の削減、端末調達コストの削減などで業績を回復させる狙いだ。
そのための武器として孫社長が挙げるのが、スプリントが買収したクリアワイヤだ。「スプリントにクリアワイヤという武器がなければ買収していませんでした。クリアワイヤの世界最高の電波を武器として手に入れて、ネットワークを一気に改善します」
携帯電話事業のイメージが強いソフトバンクだが、孫社長は「電話会社ではなくインターネットカンパニーである」ことも強調する。ボーダフォンジャパンの買収にしても、同氏は「PCを中心としたインターネットからモバイルを中心としたインターネットに置き換わるんだということで買収を決めた」という。長期的な目標は、コンテンツやサービスをモバイルインターネット上に乗せて、トータルでエコシステムを構築することだ。
そのための最初の目標が、「eコマース分野でNo.1を目指す」こと。先日、Yahoo!が「Yahoo!ショピング」の毎月の出店料・売上ロイヤルティ、「ヤフオク!」の出店料・出品時の手数料・入札などをすべて無料にして話題を呼んだことは記憶に新しい。この「eコマース革命」の結果、それまで約2万店舗だったYahoo!ショッピングの店舗数は2週間で一気に7.5万店舗まで増加し、楽天(約4万店舗)を逆転した。Yahoo!では、2010年代中に商品数、EC流通総額でもNo.1を獲得することを目標にするという。