AUV部門では1回戦から勝ち抜いたDarya Birdが優勝

続いてAUV部門は、1回戦は第1試合のみでYebis-URA vs Darya Birdが行われ、Darya Birdが準決勝第1試合に進出。そこでシードのKOLABOTを破り、決勝進出。準決勝第2試合はWAQUA君 vs KPC-AUV 2013で、KPC-AUV 2013の勝利。決勝戦はDarya Bird vs KPC-AUV 2013で行われ、Darya Birdが勝利を収めた(動画2)。

Darya Birdは今回AUV部門に出場したが、ROVとしても使うことが可能な魚雷型だ。1~2人程度の少人数で運用が可能なこと、高い保守性と管理性の実現、カメラ映像による広い視覚範囲を確保することの3点をコンセプトに開発されており、環境調査や防波堤などの保守・点検、タンカーなど大型船艇の船底掃除などへの利用が考えられている。センサ類は、ネットワークカメラ、流速、方位、深度などを装備。1mの全長は今回の出場ロボットの中では最長クラスで、重量も30kgと最重量級だ。

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動画2。Darya Birdの水中での様子

そしてROVとAUVのデモンストレーションやトーナメントを見た感想だが、ROVは人が操縦しているだけあって得点するロボットが多かったが、さすがにAUVは難しかった模様。ROVはちゃんとランディングまで行くチームもあったが、AUVはゲートの通過がやっとという感じで、オレンジのブイにタッチできたらもうそれで拍手を送りたくなるほどで、黒のブイやランディングとなるとかなり難易度が高かったようだ。水中での画像認識や、目的地への経路計画など、課題が多いということだろう。

また、見ていて印象に残ったロボットとしては、Delphinus 2を挙げたい。今回はROV部門に出場していたが、AUVとしても使えるよう開発されている機体で、今回の水中ロボットの中では30kgと最重量級ながら、機動力がかなりある。少し推力の方向が上向きにバランスがずれてしまっているのか、それとも魚やイルカなどが海面で跳ねるような雰囲気をあえて再現しているからなのかはちょっと確認できなかったが、かなりの推力があるため、水面では跳ねるように進んでいくのがなかなか迫力があった(動画3)。

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動画3。Delphinus 2の勢いのよさ

高校生たちが作った水中生物を模したROV

そしてフリースタイル部門。ここで面白かったのは、ROVの1種ではあるが、魚や水棲ほ乳類など水中生物を模していることから「アクアバイオロボット」といういい方もされるロボットたちで、「イルカロボット」(動画4)と「もるペン!」(動画5)の2機だ。どちらも高校生たちのグループであり、これだけのものを作れるのは素晴らしい。ぜひ、夏休みの研究というようなレベルではなく、この後も水中ロボットの研究者や技術者の道を進んでほしいものである(高校競技部門の高校生たちも含め、みんな優秀な学校の生徒ばかりだから、将来はきっとこっち方面の仕事に就いてくれることをぜひ期待したい)。

それらがどのようなロボットたちかというと、まずイルカロボットだが、こちらは名前の通りにイルカが参考になっており、ドルフィンキックでの推進を実現している。もう1体のもるペン!はペンギンロボットで、翼(ペンギンは水中を飛ぶように泳ぐ鳥である)であるフリッパーを羽ばたかせ、それによって推進する仕組みだ。

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動画4。イルカロボットが泳ぐ様子
動画5。もるペン!が泳ぐ様子