このスマートソニックサウンドを、テレビとして世界で初めて採用したのがLGの「Curved OLED TV」だ。曲面型の有機ELテレビとしても世界初の市販化製品だが、テレビの下部に曲線を描く透明なアクリル板を設け、ここにスマートソニックサウンドを組み込むという形で実現している。
LGは2012年1月のInternational CES 2012において有機ELテレビを発表。2013年1月のCESでは、曲面型の開発発表を行っており、5月に韓国で実際に販売を開始した。
2012年1月の段階で、京セラから日本のLGに対して提案されたのがスマートソニックサウンドだったという。韓国本国でも採用が決まり、今回の曲面型有機ELテレビに採用されることになった。
このCurved OLED TVは、画面を内側に湾曲させることで、正面から見た時に中心と端の距離を物理的に同等にして、画面に見える物体の大きさが同じサイズになるように設計されている。デザイン的にも技術的にも先進性を強調する製品となっており、さらに薄型化を実現するために、スマートソニックサウンドを採用した。
湾曲させることで、目に見える物体の大きさが同じに見えるようになる |
スマートソニックサウンド(スピーカーユニットとしては「Clear Speaker」)によって、中高音域がよりクリアに、明瞭に聞こえるようになった |
今回は中型を選択したLGだが、その場合低音域が不足するため、従来の電磁式スピーカーも併用してこれを解決。2.1chのスピーカーを搭載するイメージで、電磁式スピーカーはウーファー的に利用されているようだ。
韓国LG ElectronicsのTV研究所TV AV研究室長のSang Hee Park常務は、「有機ELテレビのデザインと高い親和性があり、スピーカーが差別化要因となる」と話し、さらに透明なアクリル板に埋め込めるなどの設計自由度が拡大した点を評価する。今後、同社のモバイル端末への展開も視野に入れているほか、ほかのテレビへの搭載も検討していくという。
なお、今回のCurved OLED TVは、現時点で国内販売の計画はない。現在はディスプレイ解像度がフルHDだが、4Kテレビへの移行が始まっていることから、まだ検討段階とはしつつ、「来年に4Kテレビとして、満を持して発売した方がいいのではないか」とLG Electronics Japan Labの尾上義憲代表取締役は話している。
また、京セラでは、スマートソニックサウンドがテレビだけでなく、タブレット端末の薄型化にも貢献できるとしており、今後の採用拡大を期待する。また、自動車の天井に埋め込んで、車室全体に音を届けるといったことも可能になるため、自動車メーカーとも話し合いを進めているそうだ。