圧倒的な速さでダミヤンを救出した「からくり忍者」

そして、さらにインパクトがあったのが、「からくり忍者」だ。ファーストミッションで250点以上というのはかなりの高得点なのだが、からくり忍者はなんと354点という、物理的にもう限界に近いような高得点を獲得し、観客を驚かせた(画像34)。ほかにも4体のチームが3体のダミヤンの救出・搬送に成功したが、だいたい制限時間の内、10分前後を使う感じだったが、からくり忍者はたったの5分10秒(残り時間6分50秒)で3体を搬送までしてしまったのである。このダントツぶりには目を見張った。

からくり忍者は、少数精鋭ともいうべき思想で、オールマイティ型の3台のロボットが、それぞれガレキを撤去し、ダミヤンを1体ずつ救出から搬送まですべてを行う形だ(画像35・36)。ちなみに14チームのロボットの台数は、2台が1チーム、3台が5チーム、4台が6チーム、5台が1チーム、6台が1チームで、平均は3.7台だ。

画像34(左):ファーストミッションでダントツの354点を叩き出したからくり忍者。ガレキの撤去を行える(画像35(中))一方で、救出・搬送も行える(画像36(右))

からくり忍者は作戦も周到で、1台は救助要請が出る前に高台エリアに登り、3体目のダミヤンのいるすぐ横の道路で待機。そして1体目が救出されて救助要請が出ると同時に3体目の救助を開始するという作戦で、5分10秒を達成したのである。ただし、これは下のエリアの2台に何らかのトラブルが生じた場合、高台のロボットが下まで移動しなければならず、時間を大きくロスする危険性もあるのだが、その賭けを賭けと感じさせない、トラブルの気配は一切見せないロボットの完成度で、見事作戦を成功させた。

またからくり忍者のロボットで感心させられたのは、操作しやすくするために操縦用カメラの位置を高いポールの上端に設置してあることだ(画像37)。実はその高さだと当然ゲートをくぐれないのだが、このポールは後ろに反る仕組みになっており、ゲートをそうやって通過。あとはバネ仕掛け的に自動的に復帰するというわけだ。

レースゲームやフライトシミュレーターなどでも、後方から追尾するアングルのカメラ、俗にいう背後霊視点は操作しやすいし、実車でも複数のカメラからの映像を変形・合成して俯瞰視点にして表示して車庫入れをしやすくするアラウンドビューモニターなどがあるが、極力それらに近い視点を得ることで、操作のしやすさをアップさせたというわけだ。

画像37。このポールの高さ! 上から俯瞰でき、操縦がしやすい