筆者のサークルは主に高層建築をテーマにしており、ビルやタワーの写真やイラストが多く含まれる同人誌を制作している。また、加えて最近は国内外の著名な建築物の前からニコニコ生放送の配信を趣味で行っており、ニコ生に関する同人誌も用意した。このことから、ビルの画像と過去に配信した動画がコンテンツとしてストックされている。今回は、これらの画像や動画を大画面ディスプレイで上映し、通りすがりの人にも自サークルの頒布物に目を向けてもらうことを狙いとした。
このため、使用するディスプレイは大画面で低消費電力であれば機種は問わないのだが、より高いアテンション効果を得るため、タッチパネル搭載のディスプレイを使用することにした。単にコンテンツが表示されているだけよりも、来場した人が自分で表示する動画を選んだり、画像を拡大・縮小したりできたほうが、より高い関心を得られるし、頒布物に関して話をする機会も増えると期待できるためだ。
そのように考えながら出展内容の構想を練っていたところ、7月末にシャープから32型液晶タッチディスプレイの新製品「PN-K322B」が発売された。4K2K(3,840×2,160ドット)の表示に対応したIGZOパネルを搭載する高解像度ディスプレイで、2月に発売された「PN-K321」にタッチ操作機能を追加したものとなる。
実売価格が50万円以上の製品なので個人で購入することは考えにくいが、マイナビニュース編集部で雑談をしていたときに今回のコミケ・デジタルサイネージ計画を話題に出したところ「それ4Kでやりましょうよ!」ということになり、シャープから実機を借用する運びとなった。
32型IGZO液晶を搭載したタッチディスプレイ「PN-K322B」。画素密度は140ppiなので実際にはスマートフォン等のパネルより面積あたりの解像度は小さいのだが、この画面サイズで4K2Kの画像を見ると迫力と精細感の両方を楽しめる |
タッチパネルは一般的なスマートフォンやタブレットと同じ静電容量式で、最大10点までのマルチタッチ操作に対応している。低ノイズ・高感度のセンサーを採用しており、ペン先径が2mmという付属の極細タッチペンや、手袋をしたままの手でも操作が可能という。方式上、デジタイザーを用いたペンタブレットのような筆圧感知はできないため、イラストの制作などには適していないが、プレゼンテーションなどの操作用途には十分な精度だ。
自費で4K2Kディスプレイを買ってコミケ会場で使う読者はおそらくいないので解像度についてはあまり参考にならないかもしれないが、電源の確保等については一般的な液晶ディスプレイと変わらない。なので、デジタルサイネージを志す方々は、ノウハウとして取り入られられる点を部分的に読んでいただければと思う。
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