SATAではSSDの性能をフルに発揮できない?

HDDよりも高速で信頼性も高いストレージとして、ノートPCはもちろん、デスクトップPCでもSSDが広く使われるようになっている。その多くが、インタフェースとしてSATAを採用した、2.5インチフォームファクターのSSDだ。SATAは、もともと従来のATAに代わるHDD向けの高速インタフェースとして誕生したが、SSDの著しい性能向上ペースに追い越されてしまった。最近の高性能SSDの転送速度は、現在の主流であるSATA 3.0の転送速度、600MB/s(6Gbps)に到達しているのだ。つまり、SATA 3.0がボトルネックとなり、SSDの性能をフルに発揮できなくなっている。

SATA 3.0(6Gbps)の転送速度を超える性能が欲しい場合は、SSDを2台接続してRAID 0(ストライピング)を構築する手段があるが、SATA 3.0よりも高速なPCI Express経由でSSDを接続する手もある。ただ、PCI Expressスロットに装着するタイプのSSDカードは、高価なエンタープライズ向け製品が中心であり、一般には普及していなかった。

しかし、ASUSTeK Computerから登場したPCI Express x2対応の「RAIDR Express PCIe SSD」は、同社のゲーマー向け製品ブランド「R.O.G.」(Republic of Gamers)を冠した製品であり、実売価格も240GBで4万円を切る程度と、かなりリーズナブルである。この期待の新製品を試用する機会を得たので、さっそくレビューしていきたい。

「RAIDR Express PCIe SSD」

120GB SSD×2のRAID 0構成

RAIDR Express PCIe SSD(以下、RAIDR SSD)は、PCI Expressスロットに装着するタイプのSSDカードだ。R.O.G.ブランドの製品らしく、黒い金属製カバーにワンポイントで赤が使われており、裏面にもR.O.G.ロゴが描かれているなど、外観にもこだわっている。

金属カバーを外すと内部の基板を見ることができるが、SSDコントローラに大きなヒートシンクが装着されていることに注目したい。SSDコントローラは内部にCPUを搭載しているため、比較的発熱が大きいパーツだ。この大型ヒートシンクによって、放熱性と安定性を高めている。長い目で見れば、製品寿命を延ばす効果もあるだろう。

RAIDR Express PCIe SSDの外観。カード長は157mmで、一般的なグラフィックカードより短い

RAIDR Express PCIe SSDの裏面。裏側も金属板で覆われており、内部のパーツは見えない

フラッシュメモリとしては、最新の19nmプロセスルールで製造された東芝製NANDフラッシュメモリを採用している。このメモリチップは128Gbitチップであり、RAIDR SSDでは基板の裏表に合計16個のチップが実装されていた。

RAIDR SSDは、単にPCI Expressインタフェースに対応しているだけでなく、内部的には120GB SSD×2基を搭載し、カード上でRAID 0(ストライピング)を構成していることが特徴だ。容量は240GB(120GB×2)となり、RAID 0動作によって性能も向上する。なお、フラッシュメモリの合計容量は256GBとなるが、16GB分は信頼性向上のためのオーバープロビジョニング(予備)領域として確保されているのであろう。

SSDコントローラには、性能に定評のある「SandForce SF-2281」を採用。前述したように、2基のSSDによるRAID 0構成を実現しているため、SSDコントローラも2基を搭載している。また、SATA/RAIDコントローラは「Marvell 9230」だ。Marvell 9230は、PCI Express Gen2×2対応であり、片方向1GB/sの転送速度を実現する。

RAIDR Express PCIe SSDの金属カバーを外したところ。発熱の大きなSSDコントローラにはヒートシンクが装着されている。ヒートシンクの上に並んでいるのは、東芝製のNANDフラッシュメモリだ

ヒートシンクを外したところ。SSDコントローラとして、「SandForce SF-2281」×2基を搭載。右側のSandForce SF-2281の下には、Marvell製のSATA/RAIDコントローラ「Marvel 9230」が搭載されている

RAIDR Express PCIe SSDの基板の裏側。表側と同じく、東芝製フラッシュメモリが8個実装されている

SSDコントローラ「SandForce SF-2281」。RAIDRは、2基の120GB SSDによるRAID 0構成を採用しているため、SandForce SF-2281も2つ搭載している

SATA/RAIDコントローラ「Marvell 9230」。PCI Express Gen2×2対応で、RAID 0/1もサポートする

東芝製NANDフラッシュメモリ「TH58TEG7DDJBA4C」。19nmプロセスルールで製造された128Gbitチップだ。裏表合わせて16個実装されており、合計で256GB分となる

次ページ: UEFIネイティブ対応。BIOSモードへも切り替え可能