これまでカシオのアウトドアウオッチ「PRO TREK」シリーズの最新モデルが発表されるたびにフィールドで実際に使用して、その機能性をレポートしてきた筆者。今年6月に発売された「PRW-3000」を初めて手にしたとき、「ついに来たか!」と唸った。

何が「ついに来た」のかといえば、その高度計機能。例えば、従来モデルの高度計測は5m単位の表示だったが、PRW-3000ではなんと1m単位の表示を実現しているのだ。これはPRO TREK史上、画期的な進化だといっても過言ではない。ほかにもさまざまな新技術が搭載されているらしい。その機能を体感すべく、さっそくPRW-3000とともにフィールドへ向かった。

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PRW-3000-1AJF
ブラック

PRW-3000-1JF
ダークグレー

PRW-3000-2JF
ネイビー

PRW-3000-4JF
オレンジ

新型センサーにより、抜群の計測性能と小型化を実現

目指したのは、箱根外輪の金時山(1,213m)。今年(2013年)の6月、世界文化遺産に登録され、日本中の注目を集める富士山を間近に望める人気の山だ。今回の山行には友人の岡野智子さんにもモデル役として同行してもらった。彼女は昨年登山を始めたばかりで、この夏には人生初の富士登山にチャレンジするという。「足慣らしも兼ねて、富士山の見える山に行かない?」と誘ったところ、「ぜひ登りたいです!」とヤル気満々だった。

登山口でPRW-3000を手渡し、身に付けてもらう。アウトドア用の多機能腕時計を付けるのは初めてという岡野さんであったが、付け心地は上々なようで、「私の腕にもフィットしますね」とのこと。これは嬉しい反応であった。というのも、PRW-3000の特徴のひとつは、性別を選ばないデザイン性にあるからだ。シリーズのSLIM LINEに位置付けられているだけあって、時計本体は軽量でスリムな設計に。本体裏面には手首のラインに沿うようにバンドカバーが装備され、女性の細い手首にもフィットする形状になっている。

「私の腕にもぴったり! ビビッドなオレンジ色もかわいいですね」と岡野さん

多機能時計の複雑なボタン操作が苦手という女性も多いが、PRW-3000ではワンプッシュで方位計測、気圧・温度計測、高度計測ができる大型ダイレクトボタンを採用。さらに各ダイレクトボタンの近くには、方位・高度・気圧を示すアイコンが付いていて、直感的に機能を認識し、操作できるようなデザインになっている。

フェイスのダイレクトボタン位置に、機能を示すアイコン。コンパスマークが方位(COMP)、太陽/雲マークが気圧(BARO)、山マークが高度(ALTI)だ。ぱっと見で直感的に機能が分かる

進化したのは、もちろんデザイン性だけではない。PRW-3000の最大のウリは、新開発の「トリプルセンサーVer.3」を搭載していること。この新型センサーの何がすごいかって、方位計測を担う磁気センサーは従来型と比べて95%の小型化と90%の省電力化、気圧・高度計測を担う圧力センサーは計測精度・速度の向上と30%の省電力化を実現したこと。

その結果……、

・方位計測 → 連続計測時間が20秒から60秒に延長
・高度計測 → 計測にかかる時間が5秒から1秒へと大幅に短縮
・高度計測 → 計測単位が5mから1mになり、詳細な高度表示が可能に
・ソーラーセルの削減などにより、本体が小型・軽量化

など、機能面でも飛躍的な進化を遂げている。軽量・薄型のボディに、シリーズ最高の計測性能を備えている ―― PRW-3000とはそんな時計なのだ。

右下のボタンを押すと、高度計測モードに。現在地の標高を「800m」と表示している

右中のボタンを押すと、気圧・温度計測モードに。現在の気圧は「924hPa」

右上ボタンを押すと、方位計測モードに。時計の12時の方向が「南南西(SSW)」を向いていることが分かる

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