NVIDIAは19日、基本プレイ無料のPCゲームの日本語化キャンペーン「基本プレイ無料ゲーム、日本上陸キャンペーン」を発表した。これに先駆けて都内で記者説明会を開催し、"Free to Play"ゲームに対する施策を紹介した。
"Free to Play"が牽引するPCゲーム市場
NVIDIA シニア・テクニカル・マーケティング・マネージャー ジェフ・イェン氏 |
まずはじめに同社のシニア・テクニカル・マーケティング・マネージャーのジェフ・イェン氏がPCゲーム市場の現状について解説した。
イェン氏によると、PCゲーム市場はここ数年で大きな成長を見せており、今後の数年間を見てもその成長が持続すると予測されているという。この成長の大きな要因として、基本プレイ無料、いわゆる"Free to Play"ゲームの存在があるとしている。
日本国内でもおなじみとなっているが、ゲーム本体は無料だが、ゲームをプレイするうえで便利なアイテムを販売したり、キャラクタのカスタマイズで課金を行い収益を上げるビジネスモデルを採用する。
「(基本プレイ無料と収益の伸びは)一見相反したように見えるかもしれないが、Free to PlayのゲームタイトルによってPCゲームの収益が拡大しているという現象が起こっている。特にアジアではFree to Playゲームがめざましく成長いる」(イェン氏)
Free to Playのゲームタイトルが市場を牽引する一方、「これまでのFree to Playタイトルはグラフィックス的には魅力的なものがそれほど多くなかった」とイェン氏。
「Free to Playのゲームタイトルの多くが、マンガやアニメ、あるいは歴史上の人物や物語をベースとしたコンテンツの中身で勝負するものが多く、グラフィックス的には2Dや2.5Dでぱっとしなかった」という。
しかし、「HAWKEN」のようなゲームの登場により状況は変化。グラフィックスのレベルも向上したとしている。「HAWKEN」はプレイヤーがロボットに搭乗して戦うFPS。NVIDIAの物理演算エンジン「NVIDIA PhysX」と開発フレームワーク「NVIDIA APEX」によって、高いレベルのグラフィックスを実現している。
「HAWKEN」が現在実施しているオープンβテストでは、現実におけるエフェクトを表現するモジュール「APEX Particle」と「APEX Turbulence」を実装。機体の爆発に合わせて、火の粉や粉じんが舞う様子などをリアルに表現する。「こういうエフェクトがあるとディティールが細やかなものになり、ゲームに対する没入感を向上させる」とイェンはコメントする。
また、今後新たに「APEX Destruction」というモジュールを追加する。これは壁や地面を破壊破壊できるというもの。あるプレイヤーの環境では壁が破壊されていて、ほかのプレイヤーの環境では壁が残っているという状況は避けなければならないため、マルチプレイ環境ではサーバサイドでもローカルサイドでもきちんと破壊状況を反映する必要があるという。
"メック"FPS「HAWKEN」
Meteor Entertainment シニアプロデューサー ポール・ロインド氏 |
続いて「HAWKEN」を運営するMeteor Entertainmentのシニアプロデューサー ポール・ロインド氏がゲーム内容の紹介やデモンストレーションを行った。
「HAWKEN」は産業化が進み、巨大企業が対立した結果、崩壊寸前となってしまった惑星「llal(イラル)」を舞台としたゲーム。あらゆるものを「ギガストラクチャー」という金属に作り替えてしまうが、同時にヴィトリウムというエネルギーを作り出すナノウイルスと惑星の覇権を巡って争いが起きているというストーリーで、プレイヤーはロボ(メック)に乗り込んで戦いに参加する。
「HAWKEN」の世界観やビジュアルについては、イラストレータ-/モデラーである横山宏氏の「マシーネンクリーガー」から着想を得ているという。
「これまでメックのFPSがあまりなかったことと、開発チーム全員がオタクというくらいメックが大好き」とロインド氏は開発の背景を語る。ロインド氏自身も自らを"メック狂"と称するほどメックが好きらしく、ガンプラもいくつか所有しているという。
前述の通り、「HAWKEN」はFree to Playのゲームで、ゲーム自体は無料でプレイ可能で、機体をカスタマイズするパーツなどを販売して収益を得る。現在はオープンβを実施しており、7月には日本向けのローカライズ版をリリース予定だ。とはいうものの、すでにゲーム内でのローカライズはかなり進んでいる。
7月に向けてWebサイトの日本語化や日本円での課金、日本でポピュラーは決済方法への対応といったローカライズが行われる予定だという。
デモンストレーションでは、イェン氏が紹介した「APEX Destruction」をデモ用に実装したテストステージの様子が公開された。天井や壁、床が破壊できるようになり壁をはさんだ位置にいる相手に対して、壁を破壊して奇襲するといった戦法が可能となる。
「APEX Destruction」は12月に実装予定だが、これまでのゲームデザインを大きく変えてしまうため、当初はプレイ可能なステージは1ステージのみになるという。
「Free to PlayゲームはbattlefieldやCall of DutyといったAAAタイトルのゲームほどの体験を得られないものが多かったが、それはこれまでの話。コンテンツやグラフィックスに関して、新しいものを取り入れることでFree to Playのゲームをさらなる高みに押し上げていきたい」とロインド氏は語った。
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